「お酒をちゃんぽんすると悪酔いしやすい」は本当
一回のお酒の席で、いろいろな種類のお酒を飲むことを「ちゃんぽん」といいます。
みなさんも、最初はビールで乾杯して、ワイン、焼酎、日本酒……と飲み進めてしまったことはないでしょうか?
特に大勢でお酒を飲む会では、それぞれが好きなお酒を注文してお互いにすすめあった結果、「ちゃんぽん」になってしまいがちです。
「お酒をちゃんぽんすると悪酔いする」「酔いやすく危険」といわれますが、これは本当です。その理由をわかりやすく解説します。
お酒をちゃんぽんするとなぜ酔いやすいのか?
私たちは基本的に、同じ味や香りのものを繰り返し食べたり飲んだりしていると飽きてきます。お酒も同じです。ビールばかり飲んでいると、「もうビールはいい」となるはずです。
ところがお酒の種類を変えると、新しい味や香りに反応して、もっと飲みたくなります。つまり、ちゃんぽんをすると飽きることなくお酒を飲み続けてしまうことになります。
同じ種類のお酒を飲み続けるよりも、種類の違うお酒をいろいろ飲む方が、結果的にたくさんのエタノールを飲んでしまいますから、酔いやすくなるのは当然でしょう。
また別の考え方をすれば、ちゃんぽんをしても、全体として飲むエタノールの量が少なければ、悪酔いは避けられます。
この意味では、ちゃんぽんをすれば必ず悪酔いするとは限らないともいえます。
いろいろな種類のお酒を飲みたいと求めるのも「脳」であり、またそれを危険だと判断して、ほどほどに止めておくのも「脳」です。
どちらを優先させるかは、あなたの「脳」次第です。
薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。
執筆者:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者)