「運動会でわが子の勇姿を見るため、なるべくいい場所を確保したい」「できるなら最前列でカメラを回したい……!」など、秋の運動シーズンのこの時期には、わが子を思い気合いを入れて運動会の場所取りをする方も多いのではないでしょうか。
コロナ禍で運動会の家族観覧がなくなったり、距離を保って完全に抽選制や入れ替え制になる地域も増えているそう。しかし、場所取りにまつわるトラブルは後を絶ちません。
北関東に住む池上智子さん(仮名・33歳)は、小学2年生と5年生のお子さんがいる、4人家族です。なんでも、コロナ前には運動会の保護者の席の場所取りをめぐって、血で血を洗うような“ドロ沼バトル”があったそう。
「うちの学区の小学校は、とにかく運動会の場所取りに力を注いでいるお父さん・お母さんが多いと、噂では聞いていたんです。私たち一家はコロナ前に引っ越してきたばかり。話は聞いていたけれど、『たかが運動会の場所取りだし……』『ちょっと早めに家を出れば大丈夫でしょ』くらいに考えていました。
でも長男が、『まだ運動会3日前なのに、校門前に椅子を置いて並んでる親がいてウケる(笑)』と言ってきて、意味が分からずポカーンとしてしまって。だって、3日前ですよ?
『iPhoneの新機種の発売待ちかい!』って心の中で突っ込みながら、半信半疑でたまたま通りかかった校門の前をちらりと見たら……本当に椅子があったんですよ! せめてもの配慮なのか、キャンプや釣り用の小さい折り畳み椅子が。しかも4脚も! そのあとには、ガムテープを地面に貼って、子どもの学年と苗字を書いている人もいました」
子どもとしては、とてつもなく恥ずかしい。でもこれは3日前の話です。
当日は、さらに嵐が吹き荒れます。
「一応事前に、近所のママ友数人へ、運動会当日は何時に行くか聞いてみたんです。そうしたらみんな、『始まるギリギリでも間に合うわよ~』とか、『少し遅れるくらいでも大丈夫だって』と言っていたんで、私もギリギリで行くつもりでした。
でも夫が『3日前に並ぶくらいの猛者がいるんだから、うちも負けられない!』って一人で張り切って、まだ子どもたちも登校していない早朝に場所取りに行ったんです。そうしたら、すでに校門前は、“西宮神社の福男選び”の会場ばりに人が押しかけていたそうで……」

福男選びとは、兵庫県・西宮神社の恒例行事「西宮神社十日戎開門神事福男選び」。毎年1月10日の午前6時の開門と同時におよそ5千人の参拝者が集まり、門から本殿までの約230メートルを全力で駆け抜けます。そして上位3人が「福男」に認定されるのです。
「夫いわく、シートやクーラーボックスを持った親たちが、校門が開くと同時にもの凄い形相で人を押しのけ、われ先にと場所を取り争って……『邪魔だ!』『どけよ!』と怒号も飛び交い、勢いと熱気ですさまじい空気だったとか。しかもその先頭の方のグループに、『運動会が始まった頃に行けばいい』と言っていたママ友たちがいたみたいで。周りの人を押しのけながら、かなり大きいブルーシートを掴んで、鬼のような形相でいい場所を陣取っていたそうです。正直、引きました」
まさに事前のやりとりは、お互いの様子を見合って安心させる、牽制(けんせい)のようなもの。
場所を取る以前に、会話のやりとりからバトルは始まっていたのです……!
コロナ禍で運動会の家族観覧がなくなったり、距離を保って完全に抽選制や入れ替え制になる地域も増えているそう。しかし、場所取りにまつわるトラブルは後を絶ちません。
運動会の3日前から「場所取り」する家族も
北関東に住む池上智子さん(仮名・33歳)は、小学2年生と5年生のお子さんがいる、4人家族です。なんでも、コロナ前には運動会の保護者の席の場所取りをめぐって、血で血を洗うような“ドロ沼バトル”があったそう。
「うちの学区の小学校は、とにかく運動会の場所取りに力を注いでいるお父さん・お母さんが多いと、噂では聞いていたんです。私たち一家はコロナ前に引っ越してきたばかり。話は聞いていたけれど、『たかが運動会の場所取りだし……』『ちょっと早めに家を出れば大丈夫でしょ』くらいに考えていました。
でも長男が、『まだ運動会3日前なのに、校門前に椅子を置いて並んでる親がいてウケる(笑)』と言ってきて、意味が分からずポカーンとしてしまって。だって、3日前ですよ?
『iPhoneの新機種の発売待ちかい!』って心の中で突っ込みながら、半信半疑でたまたま通りかかった校門の前をちらりと見たら……本当に椅子があったんですよ! せめてもの配慮なのか、キャンプや釣り用の小さい折り畳み椅子が。しかも4脚も! そのあとには、ガムテープを地面に貼って、子どもの学年と苗字を書いている人もいました」
子どもとしては、とてつもなく恥ずかしい。でもこれは3日前の話です。
当日は、さらに嵐が吹き荒れます。
当日の朝は「邪魔だ!」「どけよ!」怒号が飛び交う
「一応事前に、近所のママ友数人へ、運動会当日は何時に行くか聞いてみたんです。そうしたらみんな、『始まるギリギリでも間に合うわよ~』とか、『少し遅れるくらいでも大丈夫だって』と言っていたんで、私もギリギリで行くつもりでした。
でも夫が『3日前に並ぶくらいの猛者がいるんだから、うちも負けられない!』って一人で張り切って、まだ子どもたちも登校していない早朝に場所取りに行ったんです。そうしたら、すでに校門前は、“西宮神社の福男選び”の会場ばりに人が押しかけていたそうで……」

福男選びとは、兵庫県・西宮神社の恒例行事「西宮神社十日戎開門神事福男選び」。毎年1月10日の午前6時の開門と同時におよそ5千人の参拝者が集まり、門から本殿までの約230メートルを全力で駆け抜けます。そして上位3人が「福男」に認定されるのです。
「夫いわく、シートやクーラーボックスを持った親たちが、校門が開くと同時にもの凄い形相で人を押しのけ、われ先にと場所を取り争って……『邪魔だ!』『どけよ!』と怒号も飛び交い、勢いと熱気ですさまじい空気だったとか。しかもその先頭の方のグループに、『運動会が始まった頃に行けばいい』と言っていたママ友たちがいたみたいで。周りの人を押しのけながら、かなり大きいブルーシートを掴んで、鬼のような形相でいい場所を陣取っていたそうです。正直、引きました」
まさに事前のやりとりは、お互いの様子を見合って安心させる、牽制(けんせい)のようなもの。
場所を取る以前に、会話のやりとりからバトルは始まっていたのです……!
お金を払って「場所取り」してもらう人まで……
子どものために親が過剰に必死になっている中、涼しい顔をして最前列の特等席を譲り受けている人もちらほらいたとか。一体どういうことでしょう。
「“運動会の場所取り代行アルバイト”の人たちですよ。私もびっくりしたんですけど、便利屋さんや代行業者に頼んで早朝の順番待ちから全部やってもらえるみたいで。料金は、安いところで1時間3,000円くらいから。そのほかに出張費などがついて、大体5,000円くらいが相場だそうです。そして自分たちは、ゆっくり準備をして、取ってもらった場所で優雅にくつろぐだけ。
『そこまでして……?』と驚きますが、意外と使っている人は少なくなさそう。見積りも結構気軽にやってくれるみたいです」

運動会の席を確保するにも、“見積り”とは……。
試しに「順番待ち代行」で検索するとたくさんのサイトがヒット。「運動会場所取り代行はお任せください」と書いてあるところも。ただし、学校や地域によっては、親や家族以外の第三者が校内に入ることに厳しい制限を設けているケースもあるので、事前に要確認です。
自己中が過ぎないか? 観覧席でテントを張る親も
早朝からあの手この手で壮絶な場所取りバトルを繰り広げ、いざ運動会が始まってやっと一息……と思いきや、トラブルはまだまだ続きます。
「観覧しながらシートの上でくつろいだり、折り畳み椅子を使ったりするのは分かるんですよ。でもそれだけじゃなく、2~3人用のサンシェード(薄いテント型のもの)を広げている家族がとにかくそこら中にいて。それが密集しているものだから、『出入りするスペースがない』『テントが邪魔で、子どもたちの姿が見えない(自分たちも使っているのに)』と、あちらこちらで文句が噴出していました。
さらに驚いたのが、ポールを組み立てるような大がかりな6~8人用のタープテントを、観覧席のど真ん中で平然と使っていた家族もいたんです。椅子やテーブルを並べて、さながら自然の中でのBBQのような。さすがに先生たちに注意され、撤去させられていました」

テントやサンシェードなど場所をとってしまうものは禁止されているところも多いですが、ルールが緩いところではかなり大型のものを使う家族もいるそうです。
怒号が飛び交う一色即発の空気が漂う中、ついに事件が起きてしまいます。
警察まで来た“事件”とは……?
「保護者全員が不満をたくさん抱える中で、お酒が入ったお父さんたちが余計にヒートアップして、お互いを小突きあう喧嘩が勃発してしまって。最初は『カメラの三脚が邪魔なので、どかしてほしい』というところから、『なんで俺だけ注意されるんだ』『ほかのやつ全員にも言えよ』と熱が入ってしまったようです。
お酒が入っているから言葉もきつくなり、腕をつかんだり服を引っ張ったり……。しまいには、大声で叫びながら、周りの缶やビデオ機なども投げつけ合う始末。それを見たご高齢のご婦人が、『学校に酔っ払いの変質者が乱入してきた!』と勘違いしてしまって、通報されて警察沙汰になったんです」

酔っ払いの変質者! 勘違いじゃなくそのまんまかも。恥をかくのは子どもたちなのに……。
「本当そうですよね。でも運動会で警察沙汰って、どんだけ治安悪いのって(笑)。もう笑うしかないですよ。子どものために必死になる親の気持ちも分かりますが、結局それは子どもたちのためじゃなくて、親が満足したいだけなんですよね。自分もいつかそうならないように、気を付けたいと思います」
運動会は誰のため? 今一度見直したい
コロナ禍で運動会の観覧ルールはいろいろと変わりましたが、警察沙汰はさすがに行き過ぎです。最近では保護者が平等に撮影するために、教室の一部を撮影部屋として開放したり、保護者の参加自体をなくす学校も出てきているとか。親たちも、力を入れる方向性を今一度見直したいものですね。
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<取材・文&イラスト 赤山ひかる>
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奇想天外な体験談、業界の裏話や、社会問題などを取材する女性ライター。週刊誌やWebサイトに寄稿している。元芸能・張り込み班。これまでの累計取材人数は1万人を超える。無類の猫好き。
(エディタ(Editor):dutyadmin)
