
東京・新橋オフィス街の外れに、「チャンピオンの店」なるグレイトな店が11月にオープンした。チャンピオンという称号に弱い記者は、無視しては通れぬと同店に突入した。
4つの国旗

JR新橋駅から西側に約100m進むと、街の南北を結ぶ目抜き通り「赤レンガ通り」にぶつかる。御成門エリアに当たる通りの最南端は飲食街ではなくビジネス街。夜にもなると周囲には静けさが訪れ、なんとなくほの暗くなる。
そこを歩いている際、暗がりの中「インドカレー」というシンプルな旗を見つけた。こんな所に飲食店とは珍しい...そう気になった記者が路地に入ると「チャンピオンの店」と銘打たれた、謎のエスニック料理店が出現していた。看板にはインド、トルコ、イタリア、ペルシア(イラン?)の国旗。じつに怪しい...相当めちゃくちゃ激しく怪しいぞ!
明るいコックさんが...

店の名前は「SHANDIZ(シャンディズ)」。元はインド料理店「さくら」があった場所で、11月に店が変わり本場ペルシア料理、トルコ料理を出す店に変貌したというのだ。
イラン人コックのナヴィさんが「よく来たね。さあ座って座って!」と案内してくれる。中東流のおもてなしか、夕刻18時、店内はまだ人がいなかったが彼の明るい声が響き渡っていた。
オープン記念ということで、ザクロのジュースをごちそうしてくれた。ちなみにイランはザクロの名産地。あまり飲んだことがなかったがクランベリージュースのようで美味しい。
がっかりが一転...

メニューを開くと、最初のページに「イタリア料理」。その逆ページには「インド料理」。この瞬間、やっちまった...と思った。
日本人受けする海外メニューを揃えた雑な多国籍料理店。まさにその典型なのだ。そして味は往々にしてそこまで印象に残らないレベル。そんな店を数十軒、記者は都内で体験してきている。

しかし、次のページをめくると、以降聞いたこともない名称のペルシア料理、トルコ料理が一気に並んでいた。
「チェロケバブゴールガンドム」「ジュジェケバブバーモグル」「コロシュテカラフス」...。写真を見ただけではおそよ味は想像つかない本場のやつだ。これだよコレコレ!

あまりの情報量に悩んでいるうちにナヴィさんが再登場。
「チッキンとラァム(発音はリアルに再現)、ドッチ食べたい?」というのでチキンと回答すると「じゃ、コレがいいネ」と大ぶりなチキン2ピースとライスが写っている「ゼレシュクポロバーモルグ」(1,800円)を推薦された。
こ、これウマい...!

調べてみるとこの料理は、イランではポピュラーなおもてなし料理とのこと。

チキンはスパイスや野菜でじっくり煮込まれており、スプーンでほぐせるほどホロッホロ。
ビーフシチューとカレーのあいの子的なマイルドで深みある味わいで、鶏肉の旨味が凝縮されじつにウマい。サフランで風味づけされた大盛りのバスマティライスともよく合う。お世辞抜きで最高に美味しいチキン料理だった。

なおライスとチキンにはイラン名産の乾燥バーベリー。甘酸っぱさが特徴で、料理全体がよりフレッシュに感じさせる。これも初めての味。
怪しんでごめんよチャンピオン

記者は南インド、北インド、ネパール、バングラディシュ、タイ、ベトナムと...現地には行けないが都内約200軒で味わってきたエスニック料理好き。看板の嘘くささをかなり怪しんでいたが、心の中で謝罪しナヴィさんへ「美味しかったです。チャンピオン」と伝えた。
すると彼は、「チャンピオン! ふふふ。僕はドバイ、イタリア、イランのホテルでコックをしてきて世界の味を研究してきたんだ。そのころ、国際料理大会でチャンピオンになったんだ」とニッコリ笑顔で返してくる。

「ちなみにどんな大会?」と聞くと「うん...色々な料理なチャンピオン。とにかく美味しかったでしょ!? 写真撮ってあげるヨ!」と少々要領を得ない回答だったが、優しい。
もはやどのチャンピオンでもいいと感じさせるほどの美味しさと人間性があった。
【店舗情報】SHANDIZ
住所:東京都港区新橋5-20-1 電話:03-6699-9082 営業時間:11時~23時(無休)
(取材・文/Sirabee 編集部・キモカメコ 佐藤)