ポカリスエットのガラス製リターナブル瓶が発売され話題です。これはイオンが提唱する「Loop」と呼ばれるリデュース・リサイクルの仕組みで、プラスチックの使い捨てを見直して容器を繰り返して使う、というコンセプトに沿った商品です。
瓶ポカリ登場

イオンで販売されているこのガラス瓶のポカリスエットはボトルを回収して洗浄、詰替などの工程を経て何度も店頭に並びます。空瓶はイオンやイオンスタイルの店舗にあるLoop専用のボックスに戻します。
ここではポカリスエットのガラス製の瓶から話を広げ、現在も意外と流通しているガラス瓶や、関連する王冠、栓抜きなどのデザインを紹介します。
ペットボトルとの比較
自販機やスーパーコンビニでよく見かける500mlのペットボトル入りのポカリと並べてみました。

実物を見るまではペットボトルのポカリスエットのイメージが強いため、ガラス瓶バージョンも同じ路線の色使いだろうと考えていました。
しかし、淡色のブルーに着色された瓶に白いロゴを印刷しただけのもので想像していたものより、かなり透明感がありました。
ガラス瓶バージョンは250mlで、左の500mlペットボトルの半分ですが、ガラス製の本体が重いためペットボトル500mlとガラス瓶250mlの重量はそれほど変わりません。ですがこの重量感に何か懐かしさに似た新鮮味を感じました。
ボトル本体のデザインは、瓶の肩部分の丸っこいところなど現行のペットボトルのシルエットを継承している思われます。
美しい色が多い瓶飲料
ポカリスエット以外で現在、入手しやすいガラス瓶入りの飲料も見ていきましょう。

左からウィルキンソンのジンジャーエールとコカ・コーラ。この2つは王冠で封をしてあるため栓抜きが必要です。右はフランスのパークリングウォーターの老舗ペリエ。ペリエはスクリュー式のキャップです。
ウィルキンソンはその垢抜けたパッケージデザインからか海外製と思われがちですが、明治時代にイギリス人が作った日本の炭酸メーカーです。現在はアサヒ飲料が販売。
コカ・コーラのボトルは独特の曲線で構成されていて19世紀の発売当初からその形状はほとんど変化していません。飲食店などを中心に広く流通している瓶は写真の190mlのものが多いです。
ウィルキンソンやペリエの独特なグリーンは、欧州の瓶入りのビールによく使われる素材で「ハイネケン・グリーン」などとも呼ばれます。
ソフトドリンクだけでなくビールやワインなどの瓶の色が濃いのは、日光などで中身の品質が変化するのを避けるためです。
ラムネといえばハタ鉱泉

写真のラムネは大阪のハタ鉱泉で製造・販売されているもの。ビー玉の栓をT字形の「玉落とし」で中に落として開封します。かつてのラムネは青色のガラス製で、回収して詰め直して売る「リターナブル」方式でした。
オロナミンCはポカリスエットと同じ大塚製薬の商品。発売当初は王冠でその後スクリュータイプでしたが、現在は引っ張って開ける「マキシタイプ」と呼ばれる栓になっています。キャップに印刷された「元気ハツラツ!」のキャッチコピーは昔のまま。
王冠を開ける「栓抜き」が必須アイテム
王冠で封がされたガラス瓶飲料は「栓抜き」で開ける必要があります。ですが最近はガラス瓶でも手でひねるだけのスクリュータイプやペットボトルがほとんどなので、栓抜きのない家庭も多いのではないでしょうか。
実家に帰った時などに探せばレアなものも見つかるかもしれませんが、100均でも売られています。
栓抜きは栓抜き専用のもの、缶切り、ワインオープナーなどの複数の機能を兼ねたものに分けられます。3種類の機能を持ったものは三徳と呼ばれています。

栓抜きと同じく使用回数が減った道具が「缶切り」。缶詰も「パッ缶」などの愛称で便利な缶切り要らずの商品が増えたため、三徳など缶切りと組み合わされた栓抜きは使用頻度が激減しています。
空瓶や王冠のデザインも楽しめる
瓶のボトルは色や形も美しいものが多いです。ポカリスエットの薄い青色に着色された瓶はコカコーラ瓶の淡いグリーンに匹敵する清涼感があります。

飲み終わったポカリスエット「リターナブル」のガラス瓶は先述の通り、繰り返し使われるため販売店に返却する必要があります。
一方、スーパーなどで売られているガラス瓶飲料のほとんどは「ワンウェイ」と呼ばれる販売。買ってきたワンウェイ商品の瓶や王冠はコレクションにすることも可能ですが、処分するときは分別して住んでいる自治体のルールに従って廃棄する必要があります。
欧州で進むガラス瓶リユース、一方で日本は?
ポカリスエットの瓶バージョンは繰り返して使えるリターナルな点が魅力の商品ですが、かつては家庭でも牛乳瓶やビールのガラス瓶も、リユースされてきました。
今では牛乳瓶は紙パックへ、ビールなどアルコール類はアルミ缶入りのものが増えました。ソフトドリンク類も軽いペットボトルのものがほとんどです。
この時期、ポカリスエットが打ち出したリユース可能なガラスボトルの発表は時代に逆行している気がするかもしれません。
ですが今回さまざまなガラス瓶を手にしたときの、ひんやりとしたガラスの質感、重さ、口当たりなどを通して「効率の良さ」だけではない、素材そのものの持つ魅力を感じました。
近年、特に欧州では脱プラスチックの勢いが強くなっており、もともとリターナブル率が高かったドイツやスウェーデンなどでは、さらにガラス瓶のリユース化が進んでいます。
日本は最近、多品種で小ロットのワンウェイ販売が多い傾向で、ヨーロッパの水準に近づくためにはかなり時間がかかりそうです。
しかし、今回のポカリのガラス瓶の発売は日本では少なくなった「ガラス瓶の回収と再利用」という一昔前には普通だったシステムを思い出す契機になったと考えます。
執筆者:喜入 時生(インテリア・建築デザインガイド)