トーマスの仲間「きかんしゃトビー号」が登場した。
「きかんしゃトーマス号」の走る大井川鐵道本線の終点・千頭駅から南アルプスの山中に分け入る井川線の奥泉駅までを往復する。急カーブが多く、小さな車内から眺める山岳風景は本線とは異なる魅力があり、イベントの舞台が広がった。
さっそく乗車してきたので、列車や沿線の様子をレポートしよう。
久々に登場したトーマスの仲間
「きかんしゃトーマス号」とその仲間たちで繰り広げるイベント DAY OUT WITH THOMAS(TM)。2014年から始まり、2022年は9年目を迎える。
年々仲間が増えて賑やかになってきたが、今年は、「きかんしゃトビー号」が仲間に加わった。2020年の「2かいだてバスのバルジー」以来約2年ぶり、鉄道路線を走るキャラクターとしては約7年ぶりのニューフェイスだ。
きかんしゃトビーとは

きかんしゃトビーは、四角いボディーと前面下部の「牛よけ」(カウキャッチャー)が特徴的な路面機関車で、路面電車の線路のような道路上に敷設された線路を走ることができる。
働いていたローカル線が廃止になり、スクラップになりかかっていたところをトップハム・ハット卿に助けられてソドー鉄道にやってきた。
トーマスよりも力がなく、長距離運転には向かないけれど、石切り場の支線で頑張って働いている。大井川鐵道でも、本線ではなく、井川線での区間運転で活躍を始めた。
きかんしゃトビー号のミニトリップ

「きかんしゃトビー号」は、客車5両を従えて千頭駅の端にある井川線専用の6番線から発車する。小さな客車で、ドアは車体の中央に1つだけ。ステップの段差が大きいので、小さな子供が乗るときは要注意だ。

通路を挟んで1人掛けと2人掛けの座席が並ぶ。向かい合っているので、2人席と4人席となる。客車間の通り抜けはできないので、車端の席はバスの後部座席のようになっていて、4人並んで座ることができそうだ。
背もたれにはトーマスとその仲間たちのイラストが描かれていて楽しい。座って上を見上げると、天井にもトーマスや仲間たちのイラストが思い思いの方向を向いて描かれている。
車内に冷房はないが、その代わり窓を大きく開けることができる。また、トイレも車内販売もないので、必要があるなら事前に済ませておきたい。乗車したのは、第3便で14時15分発。間際に雨がかなり降ってきたので、窓を閉めたけれど、動き出すと小降りになってきたので、窓を半分ほど開けて外の様子を眺めた。
列車は駅舎を避けるように大きく左にカーブし、踏切を渡り、千頭駅周辺の集落の間を抜け、大井川に沿って北上する。車内放送が始まるが、トビーが愉快な口調で乗客に話しかける。説明が細かく丁寧だ。

最初の駅・川根両国を通過。ここには車両基地があり、様々な車両が停車している。その中に、「いたずら貨車」「いじわる貨車」もいて、トビーはこの貨車たちには手こずったことがあるだけに、説明にも熱がこもっていた。

川根両国を通過するとトンネルをくぐる。この先、いくつものトンネルを通り抜けるので、窓から身を乗り出さないように注意したい。人家は少なく、山と渓谷が続く。
人工物が少ない中、ところどころにトビーの仲間たちの看板が立っているので見逃さないようにしよう。もちろんトーマスの看板もあるので、探してみよう。

大井川とその支流である寸又川が合流する地点が望める鉄橋を渡ると土本駅を通過、線路は大井川の流れに沿ってくねくねとカーブしている。
車輪をきしませながらトビー号はゆっくりと、しかし確実に進んでいく。いつの間にか雨は上がり、日が差してきた。

川根小山駅は、列車の行き違いができる駅。帰りは、ここで定期列車とすれ違った。駅名をひらがなで書くと「かわねこやま」、真ん中の2文字をネコと読めることから、「川猫山」と「改名」して、駅の待合室にはネコのイラストが数多く描かれている。
奥泉駅でのきかんしゃトビーの入れ替えおよびクイズタイム

トビーが話す楽しい説明を聞きながら車窓を眺めていると、30分はあっという間で、「きかんしゃトビー号」の終点・奥泉駅に到着した。といっても、ここで下車やホームに降りて休憩することはできない。
身を乗り出して前方を見つめると、きかんしゃトビーは客車から切り離され、ひとりで前方に少しだけ進み、ホームの反対側、つまり駅舎側の線路を戻ってきて、これまで列車の最後尾だった客車に連結される。これで、千頭へ戻る準備ができたのだ。
ちょっと発車まで時間があるので、乗車記念のきっぷに書いてあるクイズ大会が始まる。第1問から第3問まであり、きっぷに描かれたイラストの選択肢から正解の車両を探すゲームである。

そうこうしているうちに発車時間が来て、15分の停車時間は終わり、列車は千頭に戻っていく。
なお、きかんしゃトビーは後ろ向き(といっても四角い車体なので、前後の区別はつきにくいけれど、顔は客車との連結面に隠れてしまう)になって戻っていく。千頭行きの列車を撮影するときは、顔がないと焦らないように気をつけよう。
きかんしゃトビー号に乗るには

「きかんしゃトビー号」は、週末を中心とした「きかんしゃトーマス号」の走る日に、2022年8月19日から9月25日までの20日間、1日3往復設定されている。ツアーでの参加が原則なので、多数あるツアーから選んで乗車したい。
ツアーに空席が発生したときにのみ、千頭駅で当日乗車券を販売する。なお、「きかんしゃトビー号」に関しては奥泉駅での途中下車はできない。

新金谷駅および千頭駅集合のツアーで前泊が必要な場合、大井川鉄道沿線にある川根温泉ホテルがおススメだ。部屋からは大井川とともに鉄橋を渡る大井川鐵道の列車が間近に見えるトレインビューホテルである。お子様連れでなくても大いに楽しめる施設だと思う。
取材協力
大井川鐵道、ソニー・クリエイティブプロダクツ
(C)2022 Gullane (Thomas) Limited
執筆者:野田 隆(鉄道ガイド)