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スシローは本当に悪質だったのか。消費者が“まだ”知らない「おとり広告」騒動の裏側

時刻(time):2022-07-29 21:33源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
回転寿司チェーンの「スシロー」を展開するあきんどスシローが、消費者庁から「おとり広告」による景品表示法に基づく措置命令を受けたのは6月9日のこと(※1)。それから1カ月余りでまたもや「生ビールジョッキ半額キャンペーン」で問題を起こしてしまった。 一度ならず二度までも、と世間では騒がれているが、回転寿司の専門家の視点からこの件を解説したい。

回転寿司チェーンの「スシロー」を展開するあきんどスシローが、消費者庁から「おとり広告」による景品表示法に基づく措置命令を受けたのは6月9日のこと(※1)。それから1カ月余りでまたもや「生ビールジョッキ半額キャンペーン」で問題を起こしてしまった。

一度ならず二度までも、と世間では騒がれているが、回転寿司の専門家の視点からこの件を解説したい。

明らかになった「おとり広告」の実態

まず、「おとり広告」が指摘された昨年の「新物!濃厚うに包み」、「とやま鮨し人考案 新物うに 鮨し人流3種盛り」、「冬の味覚!豪華かにづくし」の3件であるが、ほとんどの店舗で販売をしていない日があり、会社からの指示で販売停止が決定されていたことが露見している(※2)。

新物濃厚うに包みに関しては2021年9月8日~9月20日まで、鮨し人流3種盛りは同時期に『数量限定』として販売、「豪華かにづくし」は2021年11月26日から12月12日までのキャンペーンだった。

うにはキャンペーン中盤の3、4日間に販売停止。かにはキャンペーン中盤から期間終了までの1~2週間、販売停止されていた。

回転寿司評論家としては「人気キャンペーンは序盤を狙え!」とでも言っておけばいいのだが、率直な感想としては「まぁ、これってずっとあったことだよね」「ついに指摘されたか」といったところ。

これらの人気キャンペーンで店舗販売が途中で停止されていたことは、スシローに限らず他の大手チェーンでも普通にあった話であり、それが消費者庁から措置命令が出るまでに至ったのは、消費者からのクレームがSNSを通じて拡散されたことで放っておけなくなったからでは、と推察している。

長らく回転寿司を食べてきた一ファンとしては、「そりゃ、新物うにが110円(税込)だったら、速攻なくなるよね」としか思わないのだが、実際にこの広告を見てはじめてスシローに行ってみようと思った人も多数いることは確かだろう。

楽しみにしていた寿司が売り切れていたならまだしも、販売すらされていなかったと知った時の裏切られ感は半端ない。もう二度と来るもんかと思う人ももいるだろう。そのことに関しては企業としての配慮不足を深く実感していただきたい。


「おとり広告」を生んだ? 回転寿司業界の“慣習”

ただ、これが今までの回転寿司業界の“慣習”だったという側面もある。キャンペーンのように普段取り扱わない商品を提供する場合、通常、1年ほど前から、遅くても半年前からは商品確保に動いている。

寿司業界では商品部が会社の利益に密接に関わっているため彼らの権限が大きく、企業によってはアンタッチャブルな部署になっていることすらある。

最近ではなくなったと思うが、昭和の時代には商品部が裏で業者からマージンをもらっていた……なんてことはざらにあった話で、社長すら手を出せないほどの存在だったところも少なくない。

特にキャンペーンを打つ側の「宣伝部」と商品を確保する「商品部」の連携には疑問符がつき、宣伝部が商品部に「どうなってるのか?」と聞けるような雰囲気でない企業も多くある。

なので、宣伝部としては商品が予定通りそろっているという前提でキャンペーンの準備を進めるしかなく、いざ蓋を開けたら、予定数の商品が集まらなかった、さらに予想以上の売れ行きで商品不足に陥ってしまった、なんてことになってしまうのだ。

おそらくそれ以上でもそれ以下でもないと思うが、このコロナ禍だけにいつものように商品が確保できなかった、また商品の値上がりにより当初の予算で集められる量を確保できなかったことも間違いなくあるだろうから、イレギュラーケースが大きく影響したのは否めない。

特にうにに関しては1年以上前から集めていたとしても確保が難しかったはずだ。

なにせこれまで100円で提供できたようなうにですら今や数倍の価格になっており、今回のように新物うにと銘打った商品がスシローのようなメガチェーンで2週間のキャンペーンに耐え切れるほど集められるとは到底思えない。


実はどこでも触れられていない「おとり広告」騒動の裏側

あと、これはどこでも触れられていないが、「とやま鮨し人考案 新物うに 鮨し人流3種盛り」528円(税込)は数百万皿が売れたと聞いている。「鮨し人」監修の寿司はオペレーションがとにかく複雑で、普通の寿司を提供するのに比べれば10倍くらいの手間がかかり、その分値段も高い。

他の大手チェーンではとても提供する気にならないだろうが、スシローだからこそできる商品の象徴的な存在で、おいしさの面での差別化を圧倒的にすることを重要視している。それをも提供中止にせざるをえなかったのは苦渋の選択だろう。

その証拠に110円のうには、キャンペーン開始から7日目の2021年9月14日に販売停止を決めているのに対し、鮨し人流は11日目の2021年9月18日からの販売停止となっている。つまりギリギリまで粘っていたということだ。この4日間の差に在庫の逼迫具合が垣間見えてくる。

とはいえ、寿司業界では「売り切れ御免」だから商品がなくなっても仕方ない、というのが当たり前の認識になっており、これが「おとり広告」として問題になる時代なのだと関係者も初めて知ったのではないだろうか? 今回のことで業界慣習は一般消費者には一切関係ない、ということだけははっきりした。

まだ終わらない……スシローに起きた2つ目の問題

ところがこれで騒動は終わらない。またしてもスシローで半額ビールの提供に関して2つの問題が起きたのである。

1つはキャンペーン開始前に告知物を客席に掲示していたこと、2つ目は肝心のビールが品切れになってしまったこと。ただ前者はオペレーションの問題、後者は単純に需要予測の見誤りにすぎないと思っている。

まず、告知物をキャンペーン以前に掲示してしまったことだが、本来であればキャンペーン前日の営業終了後、もしくは当日に差し替える、というのが正しい手順である。

しかし、残業時間を減らすためやら働き方改革やらで、平日は閉めている席などは余裕のある時間を使って早めに差し替えるのが常態化しているのだろう。

店にとっての効率化は消費者にはデメリットしかないという典型的な話だ。これこそスシローに限った話ではなくあらゆる飲食店でおきていることのひとつだろう。

さて、半額ビールの提供が停止されていた問題だが、普通に考えてビール会社(サントリー)の在庫がなく、配達されなかったなんてことは考えにくい。この手のキャンペーンを行うときのビール会社の準備に抜かりがないことは筆者もよく知っている。

となるとそもそもの発注量が足りていなかったのだろうが、これも普段の倍、もしくは3~5倍くらいの発注はしていたことだろう。しかし、それを上回る量が注文されて、パンクしてしまっただけの話だ。

なぜなら回転寿司ではアルコールの出数はかなり少なく、売り上げ構成比の数%といったところ。普段、そんなに飲まれないのだから半額にしても10倍増になんてことにはならないよな、という甘い読みがあったのだろう。

普段は110円皿が4枚以上もするビールに躊躇したとしても、半額ならば飲みたい、という消費者はかなりの数いたということだ。

なお、SNSなどでは「ジョッキが普段より小さい」などという書き込みも目立っているが、普段と同じザ・プレミアム・モルツ専用ビアジョッキを使っていたのは間違いない。ただ普通の中ジョッキと比べると小さいのは確かで、初めてスシローでビールを飲んだ人が勘違いしたのだろう。

また、想定数を大きく超える注文があったのは、それだけ潜在的なスシローファンが多く、機会があれば行ってみたいと思っていた人も相当数いた証でもある。

運営会社にはそれだけ影響力が強く、一挙一動に注目されているということを深く認識していただき、これまでの慣習にとらわれない柔軟さで、さらなる躍進を期待したい。

スシローにあるのは消費者を欺く「悪質さ」だけなのか

寿司という職人が握る高価な食べ物を大衆が楽しめる業態にしたことが回転寿司の存在意義であるが、まだまだ職人気質が残る文化があり、完全な透明性を持つ業態ではないことが今回、明らかになった。

近い将来、100円で寿司が食べられる時代は必ず終焉する。これまで100円でも利益が出ていたイカやタコ、蒸しエビですら元値が値上がりしており、企業としても我慢の限界が来ている。

そんな時代にあって100円でうにを提供しようなんて無茶な試みをする飲食業態が他にあるだろうか?

今回、おとり広告で消費者を欺いた、という側面は確かにあるのかもしれないが、決して悪質なわけではなく、その裏には「おいしいものを安く食べてもらいたい」という回転寿司の第一義があるだけだと信じている。

マスコミでは批判的な意見ばかりが目につくが、悪質さというのは個人的にはまったく感じていない。ただ慣習に流されていたこと、社内の風通しが必ずしも良くなかったこと、それに尽きる。他の企業も他山の石として改善していただけることだろう。

といったわけで回転寿司評論家としては「人気キャンペーンは序盤を狙え!」とだけ伝えさせていただきます。

参考:
※1:消費者庁 公式サイト
※2:スシロー 公式サイト
※3:FOOD & LIFE COMPANIES 公式サイト


執筆者:米川 伸生(寿司ガイド)
(エディタ(Editor):dutyadmin)
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