
コロナ発生以降、テイクアウト需要が急拡大したことは周知の通り。巷には様々な魅力あふれる弁当が登場しているが、記者は現存する中では日本最古とされる弁当店「弁松(べんまつ)」に注目した。
【写真】これが江戸時代から続く日本最古の「弁松」弁当の中身
1850年に創業
東京・日本橋室町にある「日本橋弁松総本店」。前身は1810年創業の食事処「樋口屋」で、食べきれなかった分を持ち帰り用に包んだことが反響を呼び、1850年に折詰料理店「弁松」が生まれた。1850年といえばペリー来航の3年前である。
ちなみに店名は、樋口屋三代目当主が松次郎という人物だったことから、「弁当屋の松次郎」略して「弁松」となったという(「弁松」公式HPより)。
創業時点で日本には折詰料理専門店がなく、弁松が元祖、最古の「弁当屋」とされる。現在も創業時から続く味を継承し続けており、醤油と砂糖をしっかり利かせたおかずの数々には多くのファンが存在。今も昔も江戸っ子の味なんだなぁ...。
最近珍しくなった「経木」の折箱
松平健が出演する松屋の弁当サービス「松弁(まつべん)」のCMを見ていた時、「そういえば“弁松”が久しぶりに食べたい...!」と不意に思った記者。
弁松は日本橋本店のほか、都心にある三越、伊勢丹、高島屋、大丸、西武などの百貨店に直営店が存在していることを知っていたので、取材帰りに大丸東京の地下食品街に立ち寄った。お目当てはスタンダードな「並六 白飯弁当」(1,296円)。このシンプルな包み紙が何とも趣がある。
包み紙を外し、まずは折箱に注目。素材はエゾ松などから作られる薄い木の板「経木(きょうぎ)」で作られており、中にぎっしり詰め込まれた白米、おかずの湿気を適度に吸い込んでいる。崎陽軒のシウマイ弁当など、最近では珍しくなった経木の弁当箱は本当にテンションが上がる...!
煮物メインに魚の照焼など具沢山

木の良い香りを吸い込みながら蓋を開けると、めかじきの照焼をメインに、卵焼き、蒲鉾、生姜の辛煮、そして同店ならではの「豆きんとん」等がお目見え。これが最高なんだよなぁ...。

煮物はつと麩、れんこん、里芋、ごぼう、椎茸などが具沢山で、どれも甘じょっぱく濃い目に煮込まれている。

から揚げ弁当、ハンバーグ弁当などメイン料理が弁当全体を引っ張る物と違い、すべてのおかずがメインディッシュ。蒲鉾抜いたらほぼ茶色というビジュアルも特徴的である。茶色の料理で美味しくないものはない。そう、「茶色だらけ」は江戸時代から続く信頼の証なのだ。
懐かしウマい味わい

まずは煮物から。まさに“濃ゆい”味付けで、野菜の旨味がしっかりと凝縮されている。里芋やたけのこはほっくり柔らかで、もっちもちのつと麩は食感のアクセントに。

めかじきの照焼を箸で崩し、口に運ぶと一気に白米が欲しくなる味わい。どれもウマすぎる...。そして毎日職人が手焼きしている卵焼きに、山盛りの豆きんとん。なんだかおせち料理を食べているようなどこか懐かしく、贅沢なおかずがそろっている。大食らいな記者にとっては圧倒的に白飯が足りないレベルだ。
そして最後は折詰にこびりついた白米を箸で剥ぎ落とし、一粒残らず完食。日本酒もいいが、熱い日本茶ともめちゃくちゃマッチした。
普段と違う味が食べたい...そう思ったかたはぜひ今回の「弁松」弁当を味わってもらいたい。ちなみに現在同店では定期的に惣菜だけの通販を行っているので、こちらも要チェック。
https://twitter.com/benmatsu1850/status/1522884402048815109
(取材・文/Sirabee 編集部・キモカメコ 佐藤)