最近、「皮膜毛(ひまくもう)」というものが話題になっているようです。今回は筆者の信頼する美髪専門美容師・サトウヨウスケさんにお話を聞いてみました。
サトウヨウスケさんは「美髪プランナー」というだけあって、美髪づくりに必要な最新の技術や情報をつねにキャッチするよう心がけているとか。筆者も初めて出会った約4年前から通い続けていますが、サトウさんに髪を任せるようになってから圧倒的に状態が良くなりました。
いつものように髪のメンテナンスをお願いした際、皮膜毛について教えてもらいました。
皮膜毛だからといって、必ずしも悪い状態ではない
元井:ずばり、皮膜毛って何ですか?
サトウ:まず、前提として皮膜毛だから良いとか悪いということはありません。その前提の上で、皮膜毛というのは、主にトリートメントやコンディショナー等に含まれるシリコンやポリマーを使ってコーティングした髪のことです。
元井:そうなんですね。多くの方はシリコンやポリマーの含まれたトリートメントなどを使っていると思うので、皮膜毛になっていると思うのですが、それだと何か髪に悪いことがあるのでしょうか?
サトウ:皮膜にも程度があるので、僕の考えでは、多少の皮膜はメリットがあるけど、過度の皮膜は確かに髪に良くありません。適度な皮膜のメリットは、艶がでて見た目が綺麗になったり、摩擦をおさえてダメージを防げるということが挙げられます。また、ひっかかりやすい髪のストレスを抑えて切れ毛を防ぐこともできます。過度な皮膜のデメリットとしては、髪が乾きにくくなったり、カラーリング剤が入りづらくなります。
皮膜毛は乾きにくく、いたみやすい
元井:なるほど、メリットやデメリットは皮膜具合によるもので、過度な皮膜の場合はそういったデメリットがあるんですね。私もよく、『美髪のためには髪をしっかり乾かす!』と言っています。シリコンやポリマーでコーティングするのは美髪のためだと思いますが、過度な皮膜で乾きにくくなると、傷みやすくなってしまうわけですから、本末転倒ですね。
サトウ:初めてのお客様の場合、過度な皮膜でダメージ具合が見定めづらいときがあって、薬の強さを誤るリスクもあります。僕はあやしいと思ったら、いったん皮膜を取ってから施術しています。
元井:例えば私の髪は皮膜レベルいくつくらいですか?
サトウ:元井さんの髪は、10段階に分けると2~3くらいの皮膜毛です。
元井:そうだったんですか! 知らなかった。
皮膜毛は、いたみを気にしている人に多い
サトウ:元井さんの場合は皮膜しなくても綺麗な状態になりますが、まったく皮膜しない素髪よりも、2か3くらいの皮膜が最適だと考えています。それに適したシャンプー&トリートメント類をオススメしています。
元井:そ、そこまで考えてくださっていたんですね。一般的に、サトウさんの考える危険な皮膜レベルになってしまっている人ってどういう人でしょうか?
サトウ:僕の感覚ですが、まずい皮膜毛になっている方は100人に1人くらいです。その中でもカラーやパーマでのダメージが大きく、傷みを気にしている人に多いです。悪化した状態を改善する為に、ご自宅で皮膜成分の多いトリートメント等を過度に使用しているパターンです。
元井:ギクッ。私、昔そうでした。お風呂の中では、トリートメントのあとに『ヘアパック』なるものを使って、しかもメーカー推奨量よりたくさんの量を長時間放置したりして、お風呂上りにはコッテリしたトリートメントオイルをつけて……(苦笑)」
ヘアケア商品で皮膜レベルが決まる
サトウ:トリートメント類は、洗い流すトリートメント、洗い流さないトリートメント、オイル、ミルクなど。すべてを合わせてどのくらい皮膜したかで決まるので、ノンシリコントリートメントを使っていてもオイルやヘアパックで皮膜している場合もありますよね。
元井:そうなると、洗い流すトリートメントや洗い流さないトリートメントなどの、皮膜成分の量を自分で判別したりしなきゃいけないって話になりますけど、難しいですよね。
サトウ:そうなんですよね……。
元井:それは置いといたとしても、現時点で自分の皮膜レベルを確かめるのも難しいですよね? 皮膜毛の特徴として『乾きにくい』といっても、どのくらい時間がかかる状態が乾きにくいというのか、分からないと思うんです。
サトウ:ご自身で判断するのは難しいと思います……。
皮膜毛は、洗浄力の強いシャンプーでリセットする
元井:皮膜具合は、担当の美容師さんに聞けば分かるものでしょうか?
サトウ:長期的に担当している場合は分かるはずです。それか、髪が皮膜している状態で使うと泡立たないシャンプーがあるので、それで洗ってみるかですね。
元井:!? なんですか、それは。
サトウ:「DO-Sシャンプー」という洗浄力が強めのシャンプーです。これは皮膜されている状態ですと泡立ちませんので、泡立つまで何度も洗っていきます。そこで泡立ちが良くなったら皮膜がない証拠になります。危険レベルな方だと10回洗っても泡立たない場合もあるんです。
元井:チェックツールとして使えそうですね! 何回くらいやっても泡立たなければ、改善すべき皮膜レベルと言えますか?
サトウ:3回目で泡立たなければ、結構皮膜していると思います。
一旦“素髪”に戻して新しい皮膜をするのはOK
元井:さっきの10回の人は相当やばいということですね(笑)では、皮膜レベルのチェックを兼ねてご自宅で先ほど言ったようなシャンプーを使うとしますよね。するとコーティングがなくなって素髪になるわけですが、その後のトリートメントなどはどうしましょう。また手持ちのアイテムでどっぷり皮膜させてしまったら意味ないのでは……。
サトウ:古い皮膜成分がどんどん蓄積されていくのが良くないので、いったん素髪に戻して新しい皮膜をする分にはそこまで気にしなくても大丈夫です。
元井:例えば1週間~1か月の間隔で定期的に洗浄力が強いシャンプーを使うのはありでしょうか? 洗浄力が強いから、毎日は良くないと思いますけど。定期的に自分の髪の皮膜レベルを把握するという意味で。
サトウ:いいと思います! 先ほどご紹介したシャンプーでなくても、自宅か美容院で定期的に洗浄力が強いシャンプーを使用する習慣があれば、危険レベルの皮膜になることはほとんどありません。
皮膜が悪ではない!加減を気を付けること

こんな話をしながらメンテナンスをしていただき、いつも以上に髪トークが白熱して大興奮なひとときでした。実は筆者の髪も、たまにシャンプー台でいろいろするときに、一度皮膜を落とすシャンプーを使ったりして、常に新鮮な成分で皮膜した状態にしてくださっていたとのこと。全く気がつきませんでしたが、美髪専門の美容師さんのこだわりに感激しました。
皮膜毛は、コーティングするから良い悪いということではなく、程度に気を付けるべきものだということ。改善すべき状態の方は多くないようなので、読者の皆様もそこまで心配する必要はないと思いますが、思い当たる節のある方は、一度チェックしてみると美髪への道が開かれるかもしれませんね。
【サトウヨウスケ】
合同会社アリティ代表/美髪プランナー。「髪を綺麗にしたい。」という願いを叶えるため、独自の髪質に合わせた技術とヘアケアを提案している。
ブログ:美髪プランナーぶろぐ
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<取材・文・撮影/元井里奈>
元井里奈
東栄新薬株式会社/取締役。毛髪診断士®/サプリメントアドバイザー/メノポーズ(更年期)カウンセラー。慶應義塾大学卒。髪に悩む女性のためのサプリメント「美ルート」をプロデュース。毛髪、栄養学、女性ホルモンに関する専門知識をもとに、ヘアケアコラムの監修や執筆も行う。2児を育てるワーママでもある。Instagram:@rinam.0922、Twitter:@rinamotoi、ブログ「ワーママ毛髪診断士が教える、35歳から始める育毛・美髪ケア」
(エディタ(Editor):dutyadmin)




