今SNSで話題になっているエクササイズ「釜爺(かまじい)ダイエット」を知っていますか?『千と千尋の神隠し』に登場する釜爺みたいに、手足を大きく動かすインパクト大の動きが「全身痩せそう!」という声がちらほら。
たしかに見ただけでも筋肉に効きそうな雰囲気がありますが、実際のところはいかがなものか。パーソナルトレーナーの視点から検証してみたいと思います。パーソナルトレーナー目線としての第一印象は……
普段使わない筋肉を使う!

このエクササイズの特徴的なポイントは、①手足を床につけた低い姿勢になる ②手足を床につけたまま左右にダイナミックな体重移動をする、の2点でしょう。日常生活ではまずしないような姿勢になって、制限をつけたまま運動を繰り返すわけですから、筋肉に必ず負荷がかかります。
この運動はダンベルを持って筋肉に強い刺激を入れたりするものではなく、一定の時間を動き続ける「有酸素運動」に該当するため爆発的な筋肉量の増加は見込めないと思います。しかし、このような姿勢で動き続けることで日常生活では使えない眠った筋肉を呼び起こすことができるため、より多くの筋肉を同時かつ持続的に働かせることで脂肪燃焼効果を増すことができるでしょう。
どのくらいの時間を続けるべきか

有酸素運動は様々な見解がありますが、一定時間続けることで効果が出ると言われるのは共通した認識です。ではこのエクササイズはどのくらい続ければ良いのでしょうか。
姿勢はキツイものがありますが、一つずつの動きの負荷はそれほど高いものではありませんから、やはり長めに続けられる方が良いでしょう。YouTubeなどで紹介している方の動画では1セット1分間前後として、他のエクササイズを挟みながら数セット繰り返しているものが多かったです。連続ではなくとも1日の合計で5~10分は最低でも続けるべきだと思います。
想像以上に内転筋がよく伸びた
「釜爺ダイエット」を1日10分間(1分ごとに休憩を挟みながら)を1週間続けてみました。中期的にエクササイズをやってみて適度な運動効果があることを実感しただけでなく、内転筋への効果に気づきました。
この運動は超低姿勢型伸脚ストレッチのような姿勢です。そのため、左右どちらかに体重移動をすると体重が乗っている脚とは反対の側の内ももに強烈なストレッチ効果が出ます。
デスクワークや運動不足で丸くなった姿勢の現代人は、骨盤を支えるためにしなやかでなければならない内ももの「内転筋」がカチコチに固まっています。ぎっくり腰などの急性腰痛は内転筋のコリと関連していることが多く、ここを伸ばすことが骨盤周りの姿勢の改善や腰痛予防になります。
運動負荷が獲得できて、普段使わない筋肉に刺激を入れられるだろうと見込んでいましたが、更に内転筋のストレッチによって骨盤周りの機能改善にも役立ちそうであると感じました。
長期間続けるのはおすすめしない
しかしながら注意するべきことは長期間は続けない方がよいでしょう。「釜爺ダイエット」にかぎったことではないですが、人間の体は動きに慣れると最小限のエネルギーで稼働させようとするため、数ヶ月続けているうちに運動効果が低下していきます。普段行わない姿勢で普段使わない筋肉を使うからこそ身体にとって刺激的になるわけです。
慣れてきたら卒業するか、別のエクササイズに切り替えて、それをまた数ヶ月続けたのちに再度これに戻すようなローテーションにしてあげるとよいでしょう。不慣れで刺激的だからこそ身体が鍛えられることを意識して行ってください。
<文/ヒラガコージ>
ヒラガコージ
柔道整復師/パーソナルトレーナー。スポーツクラブでインストラクターとして指導をし、現在は医療国家資格である柔道整復師の知識を生かした身体機能の改善からダイエットまで幅広いクライアントを担当するフリーランスのパーソナルトレーナーとして活動中。Twitter:@fifth_petal
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