感情が感情を煽る? 怒りがヒートアップしてしまう心理とは
親しい人との間で「ちょっと聞いて。課長ったらね」「今の仕事、こういうところがイヤ!」などと愚痴をひとしきり吐き出しあえば、気持ちはいったんすっきりするでしょう。
しかし、口をついた言葉につられて、怒りの感情が過剰に煽られていないかを振り返ることも大切です。
たとえば、誰かが気難しい上司のことを「あの人、苦手」と批評したとします。すると「私もなんか嫌!」「部下を見下してる感じ」「自分がいちばん偉いと思ってる」「サイテー」などと、言葉が次第に荒くなり、悪口が過熱してしまった経験をお持ちの方もいるでしょう。
「不快な気持ち」を伝えあううちに、感情が高ぶり、怒りを煽りあってしまうことは少なくありません。
PMSや更年期などホルモンバランスの影響も受ける女性心理
また女性の場合は、ホルモンの影響で心情の揺れが生じることもあります。特に影響されやすいのが、月経周期です。
排卵後から月経前まで高まる「プロゲステロン」という女性ホルモンは、苛立ちやあせり、憂うつ感を招きます。そのため、月経が近づくとささいなことにもイライラし、普段なら聞き流せる言葉を思い返して落ち込むようなことが起こりやすくなります。
この月経前の時期には、だるさや疲れやすさ、眠気、肩こり、腰痛などの身体症状なども現れやすくなります。こうした一連の月経前の不調は「月経前症候群」(PMS)と診断されることもあります。
PMSは月経開始とともに徐々に軽快しますが、月経中の貧血の影響で月経後までだるさが抜けない人も多く、1か月の大半が体調の変動に影響されてしまうという人も多いものです。
その上、更年期に入れば、月経不順や月経異常が現れ、ほてりやのぼせ、冷えや発汗などの身体症状、苛立ちや不安、あせり、憂うつなどの精神症状も強くなりがちです。
このように、女性は女性ならではの体の変化に心の状態が影響されやすく、体調と気分が一定しにくい傾向があるのです。
では、こうしたメンタルリスクを女性はどのように管理していけばいいのでしょうか?
生理や更年期に振り回されないために、3つの「メンタルリスク管理」のコツ
女性が試しやすいメンタルリスク管理法を、以下に3つ挙げてみましょう。
毎日のように愚痴を吐き出していると、吐いた言葉がさらにネガティブな感情を煽り、怒りを増幅させてしまうものです。
そこで愚痴は日々吐き出すのではなく、ある程度心に溜めて「おしゃべりデー」に思う存分、吐き出すといいでしょう。「おしゃべりデー」の頻度は、人にもよりますが1~2週に1回くらいが適当ではないでしょうか。
気の合う人と思う存分、不快なこと、不安なことを語り合ってみましょう。
「今日吐き出したい気持ち」を次の「おしゃべりデー」まで我慢することは、とても大切な心理療法の一つです。感情をいったん抱えることで、感情に流されず合理的に考え、解決する力を養うことができます。
逆に「おしゃべりデー」まで持ち越した不満こそ、解放する必要のある感情です。しっかり話して不満を浄化し、仲間の意見を聞いて解決の糸口を見出しましょう。
(1)の「おしゃべりデー」で語り合うメンバーは、とても重要。メンバー選びのポイントは、「受容」と「共感」ができる人です。
最後まで聞いて「つらいね」と受け止め、「そういう気持ち分かるよ」と共感してくれる人と話すことが大切です。
人の話を奪って自分の話に誘導する人や、最後まで聞かずに一方的なアドバイスをしたり、「なんでこうしなかったの」「それはあなたが悪い」と批評・非難する人と話をすると、疲れてしまいます。
話の途中で「あなたの思い込みじゃない?」などと腰を折る人とも、会話が進みにくいものです。「ひどい!許せないよね!」「そんな会社、もうやめちゃえ!」などと感情を煽る人にも要注意。
自分の気持ちが分からなくなり、感情に火がついたままで着地点を見失ってしまいます。受容・共感しつつも、冷静に話を聞いてくれる人を選ぶのがベストです。
女性は、ホルモンバランスによって体調が変化しやすいもの。体調が悪いときに無理をすると、気分はさらに不安定になり、ネガティブに考えたり、怒りを引きずってしまうことが少なくありません。
そのため、月経周期内の気分の変動を観察し、月経前後や排卵日前後など、感情が不安定になりやすい時期をマークしておく必要があります。
その前後には決して無理をせず、ぐっすり眠って体を休めるのが基本。イライラや憂うつ、あせりに襲われることがあっても一時的な感情に流されず、「こう感じるのも体調のせいでは?」と落ち着いて振り返るといいでしょう。
更年期障害の場合、女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少することで、不快な心身症状にたびたび襲われることがあります。したがって、特に40代以降は「無理をしない生活習慣」を心がけていきましょう。
心身の不調が続く場合には婦人科を受診し、必要な薬を処方してもらうのも有効でしょう。
自分自身の感情や体調の特徴を把握できれば、ストレスに対処しやすくなるもの。ぜひ女性ならではの感情と体調の揺れに気づき、早めにケアを行っていきましょう。
公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を持つメンタルケア・コンサルタント。ストレスマネジメントやメンタルケアに関する著書・監修多数。カウンセラー、コラムニスト、セミナー講師として活動しながら、現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法について幅広く情報発信を行っている。
執筆者:大美賀 直子(公認心理師)