豚肉代わりにお餅を使う。なんちゃって角煮【有名シェフがお助け!お餅のアレンジ術 #4】
フードロスへの注目が高まる昨今、キッチンに残る餅が気になっている方は少なくないはず。そこで、1月第4週の連載「有名シェフのお助けレシピ」では、和洋中の3人のシェフ考案の“お餅レスキュー料理”を紹介しています。第3回に続いて第4回は、和食の匠、野永喜三夫シェフが登場!紹介してくださるのは、冷蔵庫に残りがちな“あの調味料”を使って作る「なんちゃって角煮」です。 調理時間:1時間10分
「こってりした味の角煮を食べたいけれど、カロリーが気になるときは、お餅を使った“角煮もどき”なんでどうでしょう?餅を肉代わりに使うレシピはほかにもありますが、肉の風味やコクを出す工夫が必要です。
そこで今回は、焼き鳥のタレを使います。少しスパイシーになるけれど、焼肉のタレでもおいしくできますよ。
焼き鳥や焼肉のタレって少しだけ残って、そのまま冷蔵庫に入っていませんか?じつは僕は常々、SDGsを意識したレシピ作りをしているんです。この際、お餅だけじゃなく、冷蔵庫の中で眠っている調味料もスリム化しちゃいましょう!」
材料(2〜4人分)
・餅……5個・大根……300g
・ゆで卵……5個
・焼き鳥のタレ……100cc
・水……300cc
作り方
1. 大根を切る
大根は皮を残したまま縦に半分に切り分けます。さらに二等分し、1.5cm幅のいちょう切りにします。「皮をむかずに、きれいに洗って一緒に煮込みましょう。無駄なく、食べられるものはすべて食べきるのが割烹料理の真髄です。大根は薄めに切ることで火が通りやすく、味も染み込みやすくなりますよ」
2. 大根を焼く
いちょう切りにした大根をテフロン加工のフライパンで焼き目が付くまで、中火で熱します。こんがりしたらひっくり返して、もう片面も焼きます。油は不要です。「大根だけじゃなく、鶏肉も中火で7分くらい焼くと、ちょうどいい焦げ目が付きます。この焦げ目が旨さの素。最初はジューッと聞こえるのが、パチパチという音に変わってきます。焼き時間はあくまで参考に。見た目や音で判断してくださいね」
3. 大根とゆで卵を煮る
フライパンに焼き鳥のタレ、水を入れたあと、大根、ゆで卵を加えて中火にかけます。「ぜひ炊きはじめに煮汁の味を味見してください。薄くてびっくりすると思いますが、1時間煮込むと角煮の味そのものになりますよ。煮詰めると味が変化することを知ってほしいんです」 煮汁が沸騰したら、火を弱めてコトコト煮ます。
「大根が煮汁に浸かっているので、落としブタはしなくて大丈夫。卵はときどき箸で動かせば十分だから、煮込んでいる間に掃除やほかの家事ができますよ」
4. 餅を切る
餅をひと口で食べやすい大きさに切ります。「餅はてこの原理を使って切ります。包丁の柄を握りしめ、刃先をまな板につけて、刃先が動かないように包丁の背に手の平をのせ、グッと下に押しましょう。硬くなった餅でも安全に切れますよ」
5. 餅を焼く
煮汁が煮詰まってきたら、餅の両面を中火でこんがりと焼きます。餅が膨らんでくっつかないように、間を開けて並べます。「餅は冷めると硬くなります。焼き上がったらすぐに煮汁に絡めてほしいので、煮汁が1/3くらいになったタイミングで焼きはじめましょう。フライパンでなくても、オーブントースターで焼いてもいいですよ!」
6.(3)に餅を加えて煮汁を絡める
焼いた餅を加え、急いで煮汁を絡ませます。 照りよく仕上がりました!卵は半分に切り、器に盛り付けます。7. 大根の葉を添える
余った大根の葉を小口切りし、彩りに添えます。「茶色い煮物には、彩りにグリーンがほしいですね。ここでSDGs!捨てがちな大根の葉を使いましょう。このためだけに、小ねぎを用意する必要はありませんよ。
大根の葉はしなびたり、色が変わったりした部分は切り落として、きれいなところだけを選んでくださいね」
餅の角煮風に!コク、照り十分の煮物
お餅を角煮に見立てた、「なんちゃって角煮」の完成です。しっかり煮込んだ大根と卵は、万人受けしそうな味わい。肉は入っていませんが、煮汁のコクとボリュームたっぷりの餅のおかげで、ひと品でお腹が満たされそうです。「角煮のおいしさは豚バラ肉のコクと照り。焼き鳥のタレとうっすらと焦がした大根でコクを補ったら、肉なしでも角煮の味が再現できます。お餅は冷めると硬くなっちゃうので、熱々を食べるのがおすすめ。冷めたら電子レンジで温め直してくださいね。
冷蔵庫にあるタレ系は、こんなふうに水で薄めて炊くと手軽に煮物に活用できます。炊きはじめの煮汁の濃度を覚えておいて、ぜひ応用していただけたらと思います」
餅だけでなく、冷蔵庫の中に眠っているタレ、そして捨ててしまいがちな大根の葉を再利用できるのは、うれしいですね。
明日は、超濃厚!「海苔とチーズと餅のパスタ」を紹介
有名シェフがお届けする「お餅のアレンジ術」も明日が最終回。銀座「マルディ・グラ」のオーナーシェフ・和知 徹さんが、「海苔とチーズと餅のパスタ」を伝授します。お楽しみに!教えてくれた人
日本橋ゆかり/野永喜三夫さん宮内庁への出入りを許された老舗日本料理店の3代目。「露庵 菊乃井」での修行を経て、「日本橋ゆかり」で確かな技術と独特の感性を生かした日本食を提供している。2002年「料理の鉄人JAPAN CUP 2002」で総合優勝。米国のメディアで日本を代表する料理人として選出されるなど、世界からも注目されている
@kimiononaga|Instagram
野永チャンネル|YouTube
取材協力取材・文/古川あや撮影/宮本信義