
江戸時代より栄えた歴史ある門前町の、老舗うなぎ店
下町情緒と新しい文化が交差する、文京区小石川。こんにゃく閻魔で知られる「源覚寺」の門前町に、遠方からも目指す人がいるうなぎ店がある。


鮮魚店だった名残を、刺身に感じる
『うなぎ わたべ』の前身は、地域密着の繁盛店だった鮮魚店『わたべ』にさかのぼる。創業者の祖父・渡部忠重さんは、うなぎ問屋で働いていた経験があり、鮮魚はもとより、店先で焼くうなぎが看板だった。門前を行き交う人に、それはそれはいい香りを漂わせていたことだろう。
フレンチの技術を取り入れたうなぎ料理
幸和さんは、学生時代にフランス料理店でアルバイトをしたのがきっかけで料理の世界へ。都内のレストランをはじめ、宇都宮『オトワレストラン』、西麻布『エキュレ』といった名だたるフランス料理店で経験を積み、ヨーロッパへ。
肉厚で大きなうなぎを選び、手間暇をかける
『うなぎ わたべ』のうなぎの最大の特徴は、驚くほどやわらかく、ふんわりと口溶けていく肉厚の身だ。「お客さんの好みを探ってみたら、やわらかいうなぎを求めていらっしゃるのだと確信したのです」と、弟の善隆さんは言う。
調理場が活気付くのは、朝7時30分。幸和さんがうなぎを割き、先代の父・一夫さんが串を打つ。串打ちの後、白入れ(下焼き)をして、「骨抜き」を行う。スタッフ総出で一尾一尾、丁寧に骨を抜くのだが、口当たりよくふわっとした身はこの作業なしに叶わない。
「蒸し」は、注文を聞いてから。どこまでもやわらかさを追求するので、蒸し時間も一般的な時間より長い。


70余年継ぎ足し、育んできた自慢のタレ
肝心要のタレは、祖父が開いた鮮魚店「わたべ」の店先で焼いていた時代から、継ぎ足し継ぎ足し育んできた財産だ。陶器の甕の中で、ゆらゆらとオーラを放っている。
会津塗りのお重で供される、うな重


甘みと辛みが互いを引き立て合うタレ。やわらかさが半端ない香ばしいうなぎ。縁の下の力持ちのような白米。これらが三位一体となり、五感を喜ばしてくれる。
ご飯について善隆さんは、「さっぱりとしていて粘りけの少ない米を選んでいます」と説明するが、肉厚のうなぎとの相性の良さを感じるのは一粒一粒に勢いがあるからだろう。
テイクアウト、デリバリー、フードトラックでも販売中!
そんなうなぎは、現在、テイクアウト、デリバリー、フードトラックでも購入可能だ。


コース料理を食べれば『うなぎ わたべ』の真髄が分かる!
一方、お店で実際に食べるなら、コース料理がおすすめだ。
「実は、うなぎのコンソメは鶏の風味があって、隠し味的に鶏ひき肉を使うんです」と幸和さん。日本酒を誘うコンソメといえよう。

幸和さんが一目置く素材、最高級のフォアグラを使った濃厚なテリーヌに、香ばしく焼き上げたうなぎが重なる。味わうと、心底びっくり! 主張し合ううなぎとフォアグラが口の中で見事なまでに一体になるではないか。
「テリーヌにはみりんを使い、うなぎのタレと馴染みよく仕上げています」(幸和さん)。フランス料理とも日本料理とも言えない、新しい発想、その技に感服する。
鮮魚店の名残を活かした「刺身」も味わいたい!
さて、『うなぎ わたべ』の前身は鮮魚店。その名残はしっかり息づいていて、うなぎに加えて旬の魚の刺身も大切なメニューだ。


3代目兄弟が世界に向けて、うなぎ料理を発信

【メニュー】
<アラカルト>
・うなぎの蒲焼きとベリゴール産の自家製フォアグラのテリーヌ 2,900円
・うなぎのコンソメスープ 650円
・エイヒレ 700円
・うな重 特上240g 肝吸い付き 4,400円
・旬のお刺身 うな重に+1,500円
<コース>
旬のお刺身と創作料理、〆は上うな重コース 7,000円
自家製フォアグラのテリーヌとうなぎの蒲焼き付きコース 8,500円
<フードトラック>
・白焼き丼 2,500円/4,500円
・うな丼 2,500円/4,500円
(いずれも漬物と味噌汁付き)
<テイクアウト>
・鰻上弁当 3,400円
・鰻特上弁当 4,300円
※タク配は、別途5㎞ 1,500円 10㎞ 3,000円
<ドリンク>
・日本酒 1合1000円前後
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格は税抜です(アラカルトとドリンク)
わたべ
東京都文京区小石川1-9-14 1F050-5487-0344(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
ランチ 11:30~14:00
(L.O.13:30)
ディナー 17:00~21:00
(L.O.20:00)
水曜日・木曜日
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この記事の筆者:松井一恵(文筆家)