高級食材であるカニと、ファストフードであるラーメンが融合してできた至高の一杯。ありそうで意外となかったこの組み合わせが近年、注目を集めている。濃厚な旨味とのマリアージュを堪能しよう。
冬の味覚の王様をカジュアルに満喫!旨味たっぷり[蟹ラーメン]
新型コロナウイルスに翻弄された’20年も、気づけばあとわずか。せめて季節ごとのおいしいものは旬のうちに味わいたい。となると頭に浮かんでくるのは、冬の味覚の王様・カニだろう。しかし「値段が高い」「殻を剥くのが面倒だ」という声も聞こえてくる。
そこで今回はカニの旨味をギュッと凝縮した一杯、気軽にいつでも味わえる蟹ラーメンを紹介しよう。
1軒目は東京・人形町にあるラーメン店「crab台風。」。もともと別の場所で開業していたが、香港に移転し、さらなる人気店に。2年前にカニと豚骨という新ジャンルのラーメンを引っさげて日本に“凱旋”を果たした。店名にもある通り、カニを用いたラーメンを強くアピールしている。
「香港店で周年記念限定メニューとして出した蟹ラーメンを改良したのが『蟹そば』。約60時間煮込んだ豚骨スープと、合計30 ㎏ほどのカニから取った出汁を合わせたスープが味の決め手です。カニは豚骨に負けないくらい旨味が強い、ワタリガニを使用しています」(店長の齊藤満さん)
「雑炊セット」も絶品
食べてみると、まずカニの香りがふわりと広がり、どっしりと密度の高い豚骨の味わいに持ち上げられたカニの旨味が、ズシッと舌にのってくる。満足感はカニを頬張っている感覚にかなり近い。
残ったスープにご飯を入れて、出汁を余すところなく味わえる「雑炊セット」も絶品。これを目的に来るお客さんもいるほどだ。
看板メニューの「蟹そば」以外にも、京都と長野のブレンド味噌を使用し、程よくスパイスを利かせた「蟹味噌そば」や、汁なしの「蟹油そば」もある。スープの煮込み時間を変えたり、異なる麺を用いたり、それぞれにこだわりが見えるラインナップだ。
crab台風。の「蟹そば」
具は低温調理チャーシュー、焼き海苔、穂先メンマ、燻製うずら卵、タマネギなど。黒いマー油が味わいのアクセントに。歯応えのある中太ストレート麺が濃厚スープによく絡む。850円
酒飲みは注目!シメの蟹ラーメン
2軒目は、6月にオープンした「香住北よし学芸大学店」。兵庫県香住漁港で取れるブランド蟹のラーメンをメインに、魚介系の一品料理が豊富に揃う居酒屋だ。
「親会社は、140年以上の歴史がある仲買い・水産加工会社なんです。他に蟹割烹の店も経営していますが、香住の紅ズワイガニを、もっと気軽に多くの人に味わってもらいたいという思いから、蟹ラーメンの店をオープンしました。出汁だけでなく、醤油や油にもカニを贅沢に使用しています」(店長の池田憲右さん)
1Lにカニ1杯の割合で、計20L炊き上げるという蟹出汁をベースに、香住名物の蟹魚醤を加え、カニの脚から香りと旨味を抽出した自家製の蟹油をプラス。カニの旨味を「これでもか!」というほど重ねたスープは、思わず震えがくるほどおいしい。
カニと蟹味噌と魚卵を合わせた「カサバ盛り」も!
この店に来たならば、醤油とパイタンの2種のラーメンか、和えそばを食べてほしいのだが、メニューには他にもカニ好き垂涎の料理が並んでいる。カニと蟹味噌と魚卵を合わせた「カサバ盛り」、「蟹チーズスティック」「蟹マカロニチーズ」など酒が進みそうなつまみ系に加えて、焼きやボイルでカニそのものも存分に楽しめるのだ。
極めつきは、冬季限定のカニ食べ放題。前菜やサラダ、ラーメンにデザート、2時間飲み放題までついて5000円とかなりお得だ。ランチには10食限定のスペシャルラーメンが登場することも。運よく出合えた場合は、ぜひともトライしてほしい。
カニのいいところをツルッといただける蟹ラーメンは、必ずやあなたの“カニ欲”を満たすだろう。
香住北よし学芸大学店の「香住の蟹醤油ラーメン」
主な具はカニと鶏肉、とびこなどを加えた肉団子「蟹に金棒」、蟹味噌入りのワンタン、穂先メンマ。麺はコシのある中細ストレート麺。蟹酢で和えた蟹身で味変しながら召し上がれ。880円
松葉、越前、セイコ。これ全部ズワイです!

京都から島根あたりまでの漁港で水揚げされる松葉ガニ、福井県あたりの越前地方で取れる越前ガニ。
さらには、今回紹介した香住ガニをはじめ、津居山、間人など漁港の名前がつけられたカニたちも、すべてズワイガニのこと。卵が味わえるセイコや香箱はメスのズワイを指す。
カニのなかでも高級とされる理由は漁期が決まっているから。ほとんどの海域で11月から3月しか味わえない。ズワイガニはまさに冬の味覚なのだ!
<取材・文/吉田桂 撮影/土居麻紀子>
(エディタ(Editor):dutyadmin)




