
知っておきたい、チーズの魅力や簡単レシピ【名店に教わるグルメの嗜み方 vol.3】
そのままでも調理しても良し、あらゆる料理をおいしくしてくれるチーズ。とろ〜りとろけて幸せな気分になりますよね。とは言え、チーズの種類やアレンジ方法まではわからないという人も多いのでは?今回チーズのプロに、最低限知っておきたいチーズの魅力や知識、自宅でできる簡単料理について教えてもらいました。奥深い世界を知れば、チーズをもっと好きになりますよ!
教えてくれるのは、二子玉川「スーヴォワル」のオーナー谷田さん
本格的なチーズ料理とワインが楽しめる、東京・二子玉川のチーズ専門店「Bar a Fromage sous voile(バール ア フロマージュ スーヴォワル)」。「スーヴォワル」とは、チーズに合うワインのタイプなのだそう。
▲右からオーナーの谷田さん、シェフの藤田さん
谷田さんは、元海上自衛隊の調理担当という異色の経歴の持ち主!フレンチ、イタリアン、チーズ専門ビストロなどで修業を積み、チーズの魅力をもっと広めたいと2018年に「スーヴォワル」をオープンしました。 お店には、世界中のチーズが常時30〜40種類ラインアップ。フランス産をはじめ、イタリア・ノルウェー・ギリシャ、最近ではイギリス産のものもあるのだそう。
店内飲食だけでなく、チーズのみの購入もOK。プロが厳選したチーズを、自宅で楽しむことができます。
▲ワインキャップシールアーティストとしても活躍する谷田さん。店内に飾られた作品も必見!
チーズはどうやって生まれたの?
―そもそもチーズはどんな食べものなんですか? 谷田さん(以下、谷田):チーズが誕生したときの有名な話があるんです。昔アラビアの隊商が、動物の胃袋で作った水筒にミルクをいれて、ラクダに乗って暑い砂漠を旅していました。しばらくしてそのミルクを飲もうとしたら、白い塊と黄色い水になっていて、その塊をおそるおそる食べたところ、非常においしい食べ物だったと。これがチーズ誕生の話として語り継がれています。―チーズの原料はミルクですよね。それがどうチーズになるんでしょうか?
▲瓶に入ったホエイとお皿にのったチーズ
谷田:ミルクを何かしらの方法で固めて、そこで出たホエーという水分を抜くとチーズになります。さっきのアラビアの隊商の話で言うと、動物の胃袋内に固めるための酵素が入っていて、さらに暑さでミルクが発酵し、ラクダに揺られたことで混ぜられて、自然にチーズができあがったんです。白い塊がチーズ、黄色い水がホエーということですね。この固め方を変えることで、いろいろなチーズになっていくんですよ。
最低限知っておこう!チーズの種類と特徴
―よく聞くナチュラルチーズとプロセスチーズは、どう違うんですか? 谷田:ナチュラルチーズはミルクを何らかの方法で固め、水分を一部抜いて適度に熟成させたもので、基本的には添加物を加えません。プロセスチーズは、ナチュラルチーズを熱で溶かして乳化させたものです。それ以上は発酵が進みません。
プロセスチーズはスイスで生まれたんですが、実は日本のプロセスチーズはとても進化していて、世界的にも注目されているんです!ワールドチーズアワードでは、「明治北海道十勝スマートチーズ 和風だし かつお・昆布」が賞を取っているんですよ。―海外では、プロセスチーズは少ないんですか?
▲イギリスのチーズ「モンゴメリーチェダー」の模型を使って説明してくださる谷田さん
谷田:本場・フランスをはじめヨーロッパ諸国では、ナチュラルチーズが日常的によく食べられています。比較的消費量が少ない日本では、プロセスチーズのように保存性が高くて、食べやすいものが好まれていったのかなと。そういう意味では、日本独自にレベルが上がっていったと言えるかもしれませんね。プロセスチーズは軽視されがちなんですが、僕個人としては日本らしいもの、日本の文化として応援したいと思ってるんです。
ただ、日本のナチュラルチーズ消費量も年々増加していて、盛り上がりを見せています!2019年にイタリアでおこなわれた国際的なコンテストでも、日本のナチュラルチーズがたくさん入賞していて、世界から注目されているんです。―チーズの種類は、いくつあるのでしょうか? 谷田:分け方は国によって違うんですが、日本で一般的なのはナチュラルチーズを「フレッシュ・白カビ・青カビ・ウォッシュ・シェーヴル・セミハード・ハード」の7種類に分けたものです。これはフランスの分類を元にしています。
すぐに食べられる「フレッシュタイプ」
例:フロマージュブラン(写真上)、モッツァレラチーズ、クリームチーズなど
「ミルクを固めて水分と分離させたあと、すぐに食べられるチーズです。牛以外に、ヤギや羊のものもあります」(谷田)マッシュルームのような風味「白カビタイプ」
例:カマンベールやブリードモー、サンタンドレ、バラカ、ブリー ア ラ トリュフ(写真上)など
「チーズの表面に白カビを繁殖させて熟成させるタイプのもの。“白い花が咲いたチーズ”とも言います。表面から内部に向かってやわらかく変化して、風味は最初は穏やかですが、熟成すると濃厚です」(谷田)独特の味と香りがクセになる「青カビタイプ」
例:イタリアのゴルゴンゾーラ、フランスのロックフォール、シュロップシャーブルー(写真上)など
「チーズの内部に青カビを繁殖させて熟成させるもの。その見た目から、“パセリ状のチーズ”なんて呼ばれたりもします」(谷田)個性的でおもしろい「ウォッシュタイプ」
例:マンステール(写真左)、カレ・ド・ヴァル・デュ・ミューズ(写真中央)、モンドール(写真右)など
「チーズの表面を、塩水やビール、蒸留酒などで洗ったり拭いたりしながら熟成させるもの。表面に少し粘り気があって香りも独特。表面を削れば、そこまでクセを感じなくなります。寒い地域の修道院で生まれたチーズで、今でも多く作られています」(谷田)原料がヤギのミルク「シェーヴルタイプ」
例:サントモールドトゥーレーヌ(写真左)、シャヴィニョル(写真右)、ヴァランセなど
「ヤギミルクのチーズのことで、フランス語でシェーヴルと言います。日本では、フランス以外の国のヤギチーズもシェーヴルと呼んでいます。組織がもろくて崩れやすく、個性的な形のものが多いです」(谷田)長期保存が効いて料理に使いやすい「セミハード・ハードタイプ」
【セミハードタイプ】例:チェダー、ラクレット(写真左)、オッソイラティ(写真右)
【ハードタイプ】例:ボーフォール(写真左)、コンテ(写真右)、エメンタール、パルミジャーノ・レッジャーノなど
「このふたつのタイプは、水分量が少なめ。セミハードは非加熱圧搾、ハードは加熱圧搾と言って、40℃以上の加熱作業をするかどうかで分けられています。山のほうで作られることの多いチーズなんです」(谷田)※チーズの分類について参考・抜粋 佐野嘉彦著/NPO法人チーズプロフェッショナル協会監修(2018)「ツウになる!チーズの教本」秀和システム
実践しよう!チーズの買い方・食べ頃・保存法
―チーズはどこで買うのがおすすめですか? 谷田:やはり豊富さや保存方法の点から、チーズ専門店で買うのがおすすめです。特にナチュラルチーズは保存状態がとても重要なんです。大きな塊のものからカットしたてが一番おいしいんですよ。ただ、最近は百貨店やスーパーもチーズ売り場はかなり充実してますね。―おすすめの食べ頃はありますか?
▲チーズをカットする、さまざまな道具
谷田:ナチュラルチーズは買ったあとも発酵が進むので、時間が経つにつれ味が変わります。お漬物のように味わいの変化を楽しんでもいいですね。アミノ酸の結晶である白い点々があると、うまみが強くなっています。プロセスチーズは、必ず賞味期限を守ってください。―おいしさをキープするために、家で保存するときのポイントはありますか? 谷田:基本は冷蔵庫の野菜室がいいですね。チーズ専用のペーパー(写真上)に包んでおくのもおすすめです。ラップであれば、無添加でラップ臭いのないものが良いですね。さらにチーズをタッパ入れて、一緒にニンジンといった野菜の切れ端を入れておけば、湿度が保たれて匂い移りもしません。また、冷凍もOKですが味が落ちてしまうので、加熱調理をする場合のみにしましょう。
おうちで作りたい!チーズを使った簡単激うまレシピ2品
今回特別に、お店にはない料理2品「あおさとチーズの簡単オムレツ」「ブルーチーズのペンネ」を教えていただきました!簡単なので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。あおさとチーズの簡単オムレツ
ハードタイプのコンテチーズを使った「トリュフ風オムレツ」を教えてもらいました。トリュフなんて家にない!という方もご安心を。「実は、あおさは黒トリュフの香りに近いんです!」(谷田さん)
▲材料は「卵、削ったチーズ(たっぷり目がおすすめ)、舞茸、ジャガイモ、牡蠣、あおさ、すりおろしニンニク、醤油」のみ
今回はあおさと相性のいい牡蠣を入れましたが、なければベーコンなどでもOK。また、あおさではなく、青のりや普通の海苔でも代用できます。 調理も簡単!材料をすべて混ぜて、軽く塩コショウ、そして焼くだけ。 少し深めのフライパンに多めの油をひいてしっかり熱し、具材を投入。少し外が焼き固まったら、蓋を閉めて弱火で10分弱。スペイン風オムレツのように焼き上げていきます。 仕上げにパセリを振って完成!あおさの磯の香りとチーズの香りが絶妙で、本当にトリュフのような深い香りが口の中に広がります。ジャガイモや舞茸の食感もとても良く、ボリュームも満点。牡蠣がいい出汁になっています。
ブルーチーズのペンネ
もう一品はブルーチーズを使ったペンネ。味が強いのでアレンジがむずかしそうなブルーチーズですが、こちらも簡単!▲材料は「ペンネ、ブルーチーズ、バター、生クリーム、少し甘みを加えるための麹(砂糖やハチミツでも可)、仕上げにカカオ豆を砕いたカカオニブですが、なくてもOK
ペンネは別でゆでておきます。生クリームを弱火で半量になるくらいまで煮詰めて、最後にブルーチーズ・バター・ほんの少し麹を。お皿に盛り付けたら、コショウ、カカオニブを振って完成です。 本当にあっという間!ブルーチーズの香りがふわっと広がり、さらに口に運ぶとチーズのうまみやコクがしっかり。ペンネと濃厚なチーズソースが良く絡み、お互いの良さを引き立てています。 チーズとワインの相性は抜群!おうちでもぜひ、お好みのものを合わせてみてください。
「スーヴォワル」にも、チーズやお料理に合うワインが多数ラインアップ。めずらしいものもたくさん取りそろえてあるので、ツウなファンにも喜ばれるのだとか。 また、チーズをふんだんに使った同店オリジナルの「Everyone's(エヴリワン)チーズケーキ」(1ホール3,200円/ハーフ1,700円 税抜・写真は1ホール)も絶品。
オンラインで購入できるので、おうち料理のデザートとしていかがでしょう。
商品詳細|公式オンラインショップ
本格チーズを、もっと手軽に楽しもう!
いつもの料理に少し本格的なチーズを加えるだけで、まるでお店の味のようなワンランク上の料理に様変わりします。いろんなチーズを使って、ぜひ食卓を華やかにしてみてくださいね。取材撮影・執筆:Miyuki Yajima店舗情報▼連載「グルメの嗜み方」バックナンバー
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