
都電がすぐ側を走る「ジョイフル三の輪商店街」
都電荒川線沿いの三ノ輪橋駅からすぐ、「ジョイフル三の輪商店街」に訪れました。都内で唯一残る都電の路面電車がアーケードの側を走り、まるでタイムスリップしたかのような、懐かしい空気を感じることができます。いざ、今晩のおかず調達へ
アーケードのなかに入ると、日差しが心地よく差し込み、お買い物をする人が行き交います。さっそく、ぶらり散歩しながら今晩のおかず探しです。安い、うまい、だけじゃない。わざわざ訪れたくなる“ワケ”を見つけました。まずは「肉の冨士屋」さんへ
大きな看板に黄金の文字が目を引く、肉の冨士屋さん。ズラリと肉が並ぶショーケースの前で悩んでいると、「何作るの?」とお店の方が話しかけてくれました。「まだ決まってないんです、夕飯のおかず」と伝えると、すすめてくれたのが……。 豚もも肉のベーコン巻き(1本160円)。その名の通り、豚のもも肉をベーコンで巻いたもの。塩こしょうを振って焼くだけで、簡単におかずがひと品できあがるとのことです。肉を肉で巻くという斬新さに惹かれ、2本購入しました。衝撃の「280円弁当」を発見
冨士屋さんをあとにして、商店街をさらに西へ進むと、ピンクの看板が目印のとくとく弁当ニハマルさんを発見。“ニハマル”とはなんだろうと気になり、入店すると何やら人だかりが。 そこには、ボリューム満点の弁当がずらり!そして、全品 280円という衝撃的なロープライスです。生姜焼きからチキン南蛮まで、豊富なラインアップでおかずもご飯もたっぷり入っています。お昼どきということもあって、飛ぶように売れていました。 そして、お惣菜の種類も豊富です。少量ずつ販売されており、あとひと品おかずが欲しいときにも重宝しそう。今日は彩りの良いニンニクの芽と玉子の炒めを副菜とすることに。 さらに陳列を眺めていると、背骨煮(216円)と書かれた見慣れないものが。眺めていると「豚の背骨のとこだよ。甘辛く煮付けていておいしいよ」とお店の方が教えてくれました。普段ならきっと手を出さないようなビジュアルですが、店員さんのあと押しもあり興味本位でこちらも購入しました。商店街を中程まで歩くと、なんともレトロなパン屋さんが
お惣菜をゲットしさらに商店街を進むと、どこからか甘く香ばしい揚げ物のような香りが。たどり着いたのはオオムラパンさん。まさに「THE 下町のパン屋さん」といった感じです。 ショーケースには、コロッケパン、ハムカツパン、ウインナーパンなど、夕飯前の育ち盛りが大喜びしそうなお惣菜パンがずらりと並びます。なかでもコロッケパン(140円)は、潔いほどのシンプルなビジュアルで、とってもおいしそう。 お隣のショーケースには、クリームパンやあんパン、ドーナツなどが並んでいます。甘い香りの正体はこれですね。「懐かしいパンばっかりでしょう。今どきみないよね」と、気さくに話しかけてくれたお店の方に、おすすめを聞いてみました。 「クリームドーナツは意外にもお年寄りに人気。昔ながらで懐かしいと好評ですよ」とのことで、おやつにいただきました。ひと口食べると、想像よりもはるかに軽い口当たり。甘さ控えめのカスタードがよく合い、あっさりと食べられます。お年を召した方にも愛される理由がわかりました。小腹をみたし、次に向かったのは魚屋さん
オオムラパンさんのすぐ近く、漁船を彷彿させる煌々としたライトが目を引く魚屋さんを発見。素敵なマスクを召した店主が、「いらっしゃい!」と笑顔で迎えてくれました。 こちらの鮮魚小川屋さん、創業70年で3代目だそう。昔から地元の方々に愛される老舗です。 店頭には、きれいに焼き上げられた魚がずらりと並んでいます。持ち帰って温めるだけで、おいしい焼き魚が手軽に食べられるのは嬉しいですね。でき合いのものが安く手に入るのも商店街の魅力のひとつです。 ショーケースには少量ずつ刺身も販売されています。一番人気は盛り合わせ(480円)とのこと。5種の刺身に加え、玉子や帆立煮がちょこっと添えられているのも嬉しいですね。今晩は刺身をアテに日本酒を飲もうと心に決め、こちら購入しました。帰り際、「おやつにどうぞ!」と、小さなカップケーキをいただきました。子供の頃、近所のおじさんにおやつをもらったときのような、ほっこり懐かしい気持ちに。人との温かい繋がりを感じることができるのも、商店街に訪れたくなる理由のひとつですね。
中心部から少し離れ、最後はお味噌屋さんに
最後に商店街の少し離れにある、小島みそ店さんに寄りました。ずらりと並ぶ味噌樽は圧巻です。「いらっしゃい、何にしますか」と、思わず “お母さん” と呼びたくなるような、やさしい雰囲気の店主が迎えてくれました。 昭和6年創業、商店街の中心部からは少し離れているにもかかわらず、「いつものください」と常連さんがひっきりなしに訪れます。全国各地の味噌が手に入るだけでなく、料理に合うよう店主自らブレンドしたものも販売されています。 数十種類ある味噌は、350円前後で少量から購入することができます。なかには「もち米麹味噌」「発芽米麹味噌」など、あまりスーパーでは見かけないものも。自分好みの味噌を見つけるのも楽しそうです。 せっかくお味噌屋さんに来たので、普段あまり買わない赤だし用の味噌がほしいと伝えると、「赤だしには八丁味噌をブレンドしたこのお味噌ね」と味見をさせてくれました。コクがあって大豆の甘味も感じられ、とってもおいしい!また、味噌樽の淵に味噌から出る水分がたまるとカビやすいため、2日に一回かき混ぜるそう。小柄な店主には大変な作業です。手間ひま掛けられたありがたい味噌を購入し、帰って夕飯の準備です。
ジョイフル三の輪商店街のおいしいもの集めました
ほっこり温かな気分で帰宅し、さっそく夕飯作り。小島屋さんで購入した赤だし味噌で、落とし卵の赤だしを作っている間に、豚もも肉のベーコン巻きを焼き、お惣菜と刺身をお皿に盛り替える。調理時間10分で、夕飯の完成です。 特にこの背骨煮、パートナーがとても気に入ったようで、「この味で肉の塊を食べたい」とのこと。醤油ベースの甘辛い味付けに、五香粉らしきスパイスがガツンと香ります。店員さんのあと押しのおかげで、家庭では出せない、本格的な味に出会うことができました。食を通して、人の温かさを感じられる商店街
でき合いのものを並べただけの夕飯ですが、商店街で出会った方々の顔を思い浮かべながら食べるご飯は、より一層ありがたく、おいしく感じました。作り手、売り手の顔が見える対面販売ならでは。新しい味に出会ったり、温かな人とのつながりを感じることができたりする。これが筆者の思う商店街を訪れたくなるワケです。企画・文 / 高崎 瑞輝(macaroni編集部)