
人気店出身のシェフ&ソムリエ兄弟がついに独立!
予約の取れない人気店として知られていた『Trattoria Ciccio(トラットリア チッチョ)』(吉祥寺)のシェフ・松原達志さんがついに独立。2020年6月7日、西荻窪に本格イタリアン『Osteria Tre Pazzi (オステリア トレ パッツィ)』をオープンした。ソムリエとサービスを担当しているのは、人気店『Bistro Hutch(ビストロ ハッチ)』のソムリエ兼店長だった、達志さんの弟、松原憲作さん。コロナ禍最中のオープンにもかかわらず、吉祥寺時代のファンが殺到し、早くも賑わいを見せている。



料理が完成するとキッチンから達志さんが「憲ちゃん、おねがい」とやさしく声をかけ、憲作さん(写真上・右)が「あいよ!」と明るく答える。そんな2人の仲睦まじい雰囲気が、親しみやすく温かい店の雰囲気を作っている。
「母親が料理好きで、子どものころに、当時はまだ珍しかった手打ちのラザニアを作って食べさせてくれました。僕たち2人が料理の道に進んだのは、間違いなくそんな母親の影響ですね」(達志さん)
あくまでも、軸足は「イタリア郷土料理」

常に心がけていることは、「あくまでも、軸足はイタリア郷土料理に置くこと」。イタリア料理は自分の国の食文化ではないので、勝手にアレンジするのは失礼だと考えているからだ。
「もちろん、食材や水はイタリアとは違いますし、日本人特有の好みもありますので、そこはアジャスト(調整)していかなければなりません。でもイタリア郷土料理からかけ離れた、創作イタリアンはやらないと決めています」(達志さん)

だが、そのままでは素朴すぎて日本人には受けない。そこで思いついたのが、日本人の好きな「カツレツ」にすること。ボリートに添えられる定番ソース「サルサヴェルデソース(イタリアンパセリにアンチョビ、ニンニク、ケッパーなどを加えて撹拌したソース)」とともに、塩、マスタードを添えている。付け合わせは、マッシュポテトと葉野菜。


「オープンして3カ月たち、そろそろ落ち着いたのでメニューを変えたいと思っているんですが、『これだけは絶対にはずさないでほしい!』とおっしゃるお客様が多くて、定番になりそうです(笑)」(憲作さん)
極太のモチモチ麺にからむ、ニンニク・唐辛子・トマトの黄金トリオ

断面が正方形をした卵麺「トンナレッリ」で作ったシンプルなパスタ料理「トンナレッリ カチョ・エ・ペペ」も定番人気だが、「ぜひこれも味わってみてほしい」と作ってくれたのが「ピチ カッレッティエーラ」(写真上)。

確かに、フォークに絡めることができないほどの重量感で、歯に食い込むような噛みごたえは、まさに「攻撃的」。だが、しっかり噛みしめる分、麦本来の甘みや香りが実によくわかる。

「お客さんの歓声があがる豚肉を探し求めました」(達志さん)



「いろいろな豚肉で試しましたが、食べた瞬間にお客さんから歓声が上がるのはこの肉だけでした」(達志さん)
うまみは非常に強いがクセのない肉質なので、添えられた燻製塩を付けると、がらりと味の印象が変わる。これはぜひ一度食べてみてほしい。

ワイン選びの基本は、自分たちの舌と、造り手へのリスペクト

「飲んでみておいしかったのが自然派ワイン、ということはよくありますが、最初から自然派ワインでなければとは思っていません。ただ結果的にですが、おいしいと感じるのは小さいワイン蔵のものが多いですね」(憲作さん)
憲作さんのワインの説明から感じられるのは、造り手へのリスペクト。

このワインの原料である「マルヴァジア」という品種のブドウから造られるワインは一般的に軽い味わいになり、このカテゴリーでは価格がカジュアルになる。それを悔しく思ったこのワインの生産者が、精一杯うまみを引き出すためにぎりぎりまで成熟させて、手摘みして造っているワインだという。
そうした生産者の熱い想いをさらりと伝える憲作さんの説明がまたお見事! 説明を聞いているうちに、そのワインへの愛着や蔵元への興味も湧いてくる。
「僕は100%の料理を作ることを目指していますが、弟の説明はそれにプラスアルファして120%に感じさせてくれる」と、達志さんも憲作さんのサービスを高評価する。
また最近、見かけることが多くなった「ノンアルコールワイン」だが、実は、ブドウジュースにワイン風の香料を添加したものと、ワインを造った後、低温で蒸留してアルコール分だけを抜いている「脱アルコールワイン」の2種類があり、同店ではより本物のワインの味わいに近い「脱アルコールワイン」を提供している。飲んでみると確かに普通のワインよりも軽い味わいではあるが、口に含んだ後の味がワインと同じように変化し、最後に酸味がふんわり残る。

「今の店が、僕たちの理想の店です」

どんな店にしていきたいか、という問いに対して達志さんは、きっぱりこう答えた。
「10年くらい前から、自分たちがやるならこんな店というコンセプトを描いてきました。今やれていることは、そこからブレていない。今の店が僕たちの理想の店です」

牛タンのカツレツ 1,500円
ピチ カッレッティエーラ 1,400円
白金豚の低温ロースト 3,200円
チョコレートのテリーヌ 600円
グラスワイン 650円~
ノンアルコールワイン 700円~
撮影: 岡崎慶嗣
オステリア トレパッツィ
〒167-0053 東京都杉並区西荻南3-15-1 MUビル 1F03-4361-5515
12:00~15:00(L.O.14:00)※ランチは土日祝日のみ、17:00~23:00(L.O.22:00)
水曜日、不定休
https://www.facebook.com/Osteria-Tre-Pazzi-107273787685977/
https://r.gnavi.co.jp/kfgmzf2n0000/
この記事の筆者:桑原恵美子(ライター)