「夫の帰りが遅い!」から「夫が毎日家にいてウザい!」と怒りのタネが一転。新型コロナウイルスによる外出自粛やテレワークで、夫婦の距離感について考えさせられた人も多かったのではないでしょうか。
とりわけ、夫婦の距離感に敏感といえるのが、“フラリーマン”の夫です。「フラリーマン」とは、家や会社に居場所がないという理由で街をふらふらとさまよい歩くサラリーマンのこと。2018年から働き方改革で会社により居残りずらくなり、会社員のフラリーマン化が加速しました。
フラリーマン化する理由1位は「自分の時間が欲しい」
実際のところ、家に帰りたくないという夫はどのくらいいるのでしょうか? 既婚者会社員男性3048人を対象にアンケートを実施すると、「家に帰りたくないと思いますか?」という問いに「はい」と答えたのは16.4%。その理由の1位は「自分の時間が欲しい」で7割、2位は「妻と会いたくない」で3割弱でした。
「こっちだって自分の時間がほしいし、夫婦仲の悪い夫には会いたくないですよ!」とアンケート結果に顔をしかめたのは、8歳の子供を持つシングルマザーの田野さやかさん(仮名・41歳)です。2年前、夫のフラリーマン化が原因で離婚しました。
1か月も家に帰ってこなかった夫と離婚
「3歳になった子供を保育園に入れて仕事復帰した頃、夫とのケンカが増えていき、夫がフラリーマン化しました。普段は残業のある日でも22時くらいには帰っていたのに、終電まで帰ってこない日が増えていったんです。
私も時短とはいえ仕事してるのに、帰宅して、息子をお風呂いれて、ご飯作って、食べさせて……と全部終わる頃にはクタクタ。夫だけフラフラして家事育児から逃げてズルいと思ったし、一人で背負うのがしんどくて文句を言ってました。何度か『なぜ帰ってこないの』と夫に問い詰めたんですが、『おまえと話したくないから。おまえもひとりで冷静に考えたほうがいい』なんて言い返されましたよ。
一人で悠々自適に過ごしている夫とは違って、私は家事育児に追われてるんだから、そんな余裕なんかないです!
そのうち、夫は終電で帰宅するどころか、だんだんサウナやカプセルホテル、後輩の家に外泊するようになっていって、ついに1か月も家に帰ってこなかったんです。それで『もうこいつは無理だな』と思って、離婚を決めました。私が離婚したのはコロナ禍前ですが、『自分の時間がほしい』なんてのはいつでもお互い様だと思います」
家事育児に対する妻と夫の認識の違いがフラリーマンを生む
そもそもなぜフラリーマンになってしまうのでしょうか。夫婦関係を長年取材し『夫の不倫がどうしても許せない女たち』(朝日新聞出版)など著書多数の亀山早苗さんは、フラリーマンになる夫の心理を次のように解説します。
「今の夫は、昔のように家のことを妻に丸投げするのではなく、家事育児をやろうという気持ちはあります。しかし、やったところでうまくできず、妻はブスっと不機嫌にしている。夫はその理由がわからず、心にグサグサくるわけです。下手に触れると妻の怒りが爆発するので、最終局面になるまで言い出せない傾向がありますね。そんな家の空気に夫が疲れてしまい、別の居場所を求めるようになるのです」
「男の人は、家事育児が無限にあるのがわかってない」
確かに、同アンケートでは「家に帰りたくない」と答えた人のうち、家事・育児に対して6割の人が「全面的に協力している」もしくは「やや協力している」と答えていました。これに対して田野さんは……。

「男の人は家事育児は無限にあるのがわかってないんです! ゴミ出ししてたまに食器洗っただけで『家事手伝ってる』って言うし、子どもをお風呂に入れて休日に遊んであげてるだけで『育児頑張ってる』って言いますから。
元夫は、休日に子供を遊びに連れて行く場所だけはいつも入念にリサーチしていて、それだけで『俺ばっかり息子の教育のことを熱心に考えてる』と言ってきたときは、のけぞりましたよ。こっちはリサーチする時間もないくらい雑事に追われてるんだけど? スムーズに出かけるための御膳立ては全部私がやってるんだけど?と、いま思い出しても腹立たしいです。
妻にギャンギャン怒られて、家の空気が悪くなるのが耐えられないという気持ちはわからなくもないです。でも私だって家にいたくないことはあるのは同じなのに、本当に身勝手だと思います」
夫がフラリーマンでいることで夫婦円満になることも
家事育児の認識の差が夫婦のすれ違いをうみ、夫がフラリーマン化してしまうようです。しかし、フラリーマンであることは一概に悪とはいえないと亀山氏。
「田野さんのような人もいる一方で、夫がフラリーマンでいることが夫婦円満になっている家庭もあります。夫が早く帰ってきて家のことを手伝うよりも、平日は飲みに行って家で食事するのは週末くらい、という距離感がちょうどいい。夫がなるべく家にいないほうが、妻も気楽なんですよね。
出張にしても、一か月まるまるいなくてもよくて、出張が減るとイラつくという奥さんの話はよく聞きます。『亭主元気で留守がいい』は現代にも通用していると感じますね。特にコロナ禍では、家にずっといることがお互いのストレスになっていたので、フラリーマンのほうが都合がいいという妻は多かったはずです」(亀山氏)
夫婦の形はそれぞれ。あなたにとって、フラリーマンはアリですか? ナシですか?
【亀山早苗】
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数
※【調査概要】
調査方法:アイブリッジ(株)提供の「リサーチプラス」モニターに対してアンケートを行い、その結果を集計したものです。
調査期間:2020年9月1日~2日
有効回答者数:35歳~55歳 既婚男性3048名
<文/ツマミ具依>
ツマミ具依
企画や体験レポートを好むフリーライター。週1で歌舞伎町のバーに在籍。Twitter:@tsumami_gui_
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