
毎日でも通いたい! 本格フレンチとほっこり焼き菓子の店

シェフとパティシエールの夫婦二人が営む小さなビストロは、上質な料理と焼き菓子で早くも界隈に住む人たちの注目を集めている。


シンプルな内装に木製の家具や棚がナチュラルな風合いで、新しいのにどこか懐かしい、ほっと落ち着く空間だ。
本場フランス修業の経験を持つ実力派の二人
フランス料理と焼き菓子の2大看板を掲げる『KUVAL』を切り盛りするのは、シェフの久原(くばる)将太さんとパティシエールの春香さん夫婦。二人とも都内の一流店でその実力を認められて、腕をふるってきた実力派。
「フランスにしかない食材を見てみたいという想いが強かったです。本場の味を経験することで、そこからお客様に喜んでもらえる味にカスタマイズできると思うんです」(久原さん)
帰国後は、ジビエ料理で名高く、『ミシュランガイド東京』で一つ星を獲得している青山のフレンチ『LATURE(ラチュレ)』や、肉料理に定評のある目黒『Cellar Fete(セラフェ)』で活躍。奥様との結婚をきっかけに独立。長年暮らしてきた中央線沿線で店を開こうと、三鷹で開業した。

「パティシエをずっとやっていくうえで、パッケージデザインとかお菓子の見せ方とかも学ぶ必要があると思ったんです」(春香さん)
その後、さらに経験を広げようと、広尾にあるモダンイタリアン『PONTE DEL PIATTO(ポンテ デル ピアット)』に入店し、アシェットデセール(皿盛りデザート)を担当。『KUVAL』では、手作りの焼き菓子と共に、得意のアシェットデセールも披露してくれる。
ベースとなる食材選びに徹底的にこだわり、旬のおいしさを届ける

現在、メニューはアラカルトがメイン。ご近所さんが足繁く通っても飽きないように、毎日少しずつ内容を変えている。さっそく、ある日のメニューを紹介しよう。

『ジェットファーム』とは、北海道のアスパラガス専門農家。直送で届くアスパラガスをリボン状に薄くスライスし、塩とオリーブオイルで軽くマリネしたものを生でいただくのだが、シャキシャキの食感とみずみずしい甘さに驚かされる。

シンプルな組み合わせに合わせるのが『ラチュレ』直伝のドレッシング。酸味がまろやかなドレッシングは、素材の甘さやミルキーさ、コクといった持ち味を存分に引き出している。心ゆくまで、食材のおいしさを堪能できる一品だ。
自家製コンソメの澄み切ったコクに技術の高さを感じる一品
魚料理で好評だという温かい前菜「甘鯛のパリパリ焼き、自家製コンソメスープ」(写真下)。
甘鯛のウロコを少し水に湿らせてから多めの油で焼くことで、身はふっくら、ウロコがパリパリに。この甘鯛に、牛から取った黄金色に澄んだコンソメスープを合わせている。

「せっかくのおいしい食材ですから、余すところなく使いたいと思います。魚も、骨などからだしをひくんですよ」(久原さん)

噛むたびに肉汁がじんわり広がる、絶妙な火入れにうっとり

ラムのローストに赤ワインとフォンドヴォーのクラシックなソース、彩り豊かな旬の野菜が付け合わせされたボリューミーな一皿。

表面を強火でカリッと焼き付けて、皮の周辺部分は少し噛みごたえを残し、中心部分はやわらかく仕上げていく。火から降ろしたら、焼いた時間と同じ時間休ませ、中の肉汁を落ち着かせることで味わいがジューシーになる。

「塩の持つミネラル分などが、野菜を茹でたり、肉をマリネしたりするときに味わいを深めてくれます。塩などの調味料選びは大事にしていますね」(久原さん)
まるでパフェのような満足感! いくつもの味わいや食感が層になったデザー

クレームダンジュとは、フランスのアンジュ地方のチーズケーキ。ヨーグルトとクリームチーズなど数種類のチーズをブレンドしたものにメレンゲを加え、フワフワの食べ心地がたまらない。
ブドウは藤稔(ふじみのり)と巨峰、クイーンニーナの3種類。ディルのグラニテを散らし、ハーブの爽快感のある香りで、甘いだけではない大人のデザートに仕上げている。

「ちょっとだけ違うニュアンスのものを組み合わせる、例えば、スパイスや辛味、塩味とかを甘さの中に忍ばせるのが好きですね。このデザートはシャンパンにも合うんですよ」(春香さん)
甘いだけじゃない、重なり合う味の深みが春香さんの作るデザートの魅力の一つだ。
素材の風味を生かした、甘さ控えめの焼き菓子も人気



甘さ控えめなお菓子は、バターやドライフルーツ、スパイスなどの味わいが奥深い。
ワイン大好きシェフが厳選したワインも楽しみ

「プロヴァンスにいた頃は、毎日のようにロゼを飲んでいたので、ロゼワインは充実しています。地域ですとアルザスが好きですし、ブドウの種類だとガメイが好きですね」とワインについて熱っぽく語る久原シェフ。

「お客様に教えてもらって、ワインを仕入れることもあるんですよ」と久原シェフ。新しいワインとの出逢いも楽しめそうだ。
“手の届くご褒美フレンチ”で日常を豊かに


ハイレベルな技術と素材への想いにあふれた料理は、身も心も癒やしてくれる最高のご褒美。寄り道する価値あり。ぜひ出掛けてみてはいかがだろう。
【メニュー】
・ジェットファームのアスパラのサラダ モッツァレラ 1,350円
・甘鯛のパリパリ焼き、自家製コンソメスープ 1,700円
・ラムのロースト 3,000円(約2人前)
・クレームダンジュ ぶどう ディル 1,100円
・グラスワイン 650円~
・ボトル 3,000円~
・エンガディナー 300円
・バターピーナッツのディアマン 35円/1枚
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です
撮影:小野千明
KUVAL(クバル)
〒180-0013 東京都武蔵野市西久保2-3-15 サード本窪1F0422-27-7753
ランチ11:30~15:00(LO13:30)、ディナー18:00~23:00(LO22:00) ※水・木のランチテイクアウトのみ。金~日は3,800円コース(前日まで要予約)、ディナーは6,500円コース(前日まで要予約)とアラカルト
月曜日、不定休(SNSにて告知)
https://www.kuval.store/
https://r.gnavi.co.jp/beaxtx880000/
この記事の筆者:小田中雅子(ライター)