
知るともっと楽しい、スリランカカレー!
最近増えている、スリランカカレーのお店。ユニークなスパイスカレーのブームも相まって、スリランカカレーを日常的に食べる人がどんどん増えているんです。とは言いつつも、その個性的な見た目や食べ方……、日本人には馴染みもないし、ちょっとディープで取っ付きにくさを感じる人もいますよね。ですが、ご安心を!
この記事では、そんなスリランカカレーの伝道師ともいうべき敏腕シェフから、スリランカカレーにまつわるアレコレを教えていただきます。記事後半では、おうちカレーをグッとおいしくするひと手間もご紹介しますよ。
今日からあなたも、スリランカカレーファンの仲間入り!
教えてくれるのは……西早稲田「APSARA(アプサラ)」のオーナーシェフ・ジャナカさん
今回訪れたのは、東京メトロ副都心線「西早稲田」駅から徒歩6分ほどのところにある「Apsara Restaurant&Bar(アプサラ レストラン&バー)」。スリランカ出身のシェフ2人が営む、本場スリランカ料理が人気のお店です。 スタイリッシュな店内の一階はテーブル席が4卓、そしてカフェのような雰囲気のある地階にはテーブル・ソファ席が広がります。各所にあるスリランカの置物や装飾が、現地感を醸し出しています。 笑顔が素敵な、オーナーシェフのジャナカさん。幼い頃はおばあちゃんっ子で、料理好きだったおばあちゃんの手伝いをすることが多く、そこから料理の魅力に目覚めたのだそうです。 スリランカでは料理の専門学校に通い、卒業後は母国やサウジアラビアなどでシェフを務め、その後、日本で和食・イタリアン・フレンチ・パティシエまで経験した、まさにマルチなシェフ。以前勤めていたイタリアン&スリランカ料理のお店では、日本人向けにスリランカ料理教室も開催していたんです。そんななかで、「もっとスリランカ料理を広めたい!」と思い、友人とこのお店を始めました。
シェフに質問!スリランカカレーの特徴や魅力とは?
そもそも、スリランカカレーってどんな料理なんでしょう?
ジャナカさん:簡単に言うと、スリランカの家庭で食べられている定番料理です。スパイスをふんだんに使っており、ココナッツミルクがベースのものが多いんです。肉を使ったもの、魚を使ったものなど、バリエーションもさまざま。そして大きな特徴は、その食べ方ですね。ひとつのお皿にカレーや副菜などいろいろなものをのせて、すべてを徐々に混ぜながら食べていきます。
混ざり具合や混ざった食材のバランスなど、食べる箇所によっても味が違い、さらに混ぜるたびに味がどんどん変化。同じ味わいがふたつとない“ライブ感”が魅力ですよ!
なじみ深いインドカレーとは、どう違うんでしょう?
ジャナカさん:実はまったく違うんです。スリランカカレー(英語ではスリランカカリー)は、インドカレーに比べて油が少なく、野菜や素材の味を活かした味付けになっています。決定的に違うのは、スパイスですね。スリランカ料理で使うのは、「トゥナパハ」というミックススパイスで、インドのものとスパイスの種類や配合がまったく違います。たとえば同じペッパーという名前のものでも、香りや味、見た目もまったく違うんですよ。
「トゥナパハ」は、日本でも手に入るんですか?
ジャナカさん:お店で使うスパイスは、すべてスリランカの現地から、直接仕入れています。日本だと普通のスーパーではむずかしいですが、オンラインか、スリランカスパイスを扱っている専門店で買えます。新大久保あたりでは、国に特化した食材や調味料を扱ってるお店も多いですね。バナナリーフがお皿代わりになっているものをよく見ます。これが現地スタイルなんですか?
ジャナカさん:このバナナリーフに包むというスタイルは、いま家庭では少なくなっていて、ホテルのレストランなどでしか見られなくなりました。最近の家庭では、大皿のワンプレートにのせて食べるスタイルが一般的ですね。昔は、庭に生えてるバナナリーフを取ってきて、そこに食材を包んでお弁当のように持って行ったものでした。バナナリーフに包むと、味や香りが移ってとてもおいしくなりますし、殺菌効果もあります。昔、日本でおにぎりを笹の葉にくるんで持っていたのと同じですね。 こちらが、お店の名物メニュー「スリランカカレーのバナナリーフ包み」。
バナナリーフを開くとしっとりと蒸し上がっているのがわかります。具材やスパイスの香りとともに、何ともいえないバナナの葉のさわやかな香りが、また食欲をそそります。 スパイスカレーにぴったりのバスマティライスの上に、約40種類のスパイスを使ったおかずやカレーがたっぷり約10種類!この日は、オクラ・インゲン・パイナップルカレー・ビーツ・タマネギのスパイス炒め・ココナッツチップ・ゆで卵・チキンカレーなどで構成されていました。
覚えておこう!スリランカカレーの食べ方レクチャー
スリランカでは、手で食べるのが一般的なんですよね?
ジャナカさん:そうですね。ただし、使っていいのは右手の指の第二関節あたりまで。スリランカでは、それ以上手を汚すのはダメなんです。指の腹を使ってご飯とおかずやカレーを混ぜて、四本の指ですくって、親指をうまく動かして口の中に送り込みます。小さい頃はうまく食べられないので、指をたくさん汚して食べると、よく祖父母や両親に注意されたもんですよ(笑)
手で食べるのと、スプーンで食べるのとで、味は変わるんですか?
ジャナカさん:全然違います!手で食べたほうが絶対においしくなりますよ。スプーンより、指のほうがよく混ざるんです。スリランカカカレーは、ひとつのお皿にいろいろなおかずやカレーをのせて、それを自分の混ぜたいように混ぜて食べていきます。混ぜるものの種類はもちろん、分量、混ぜ具合で毎回違った味を楽しめるのがいいところなんです。 しっかり混ぜて食べてみると、ジャナカさんの言葉に納得。辛さや甘さ、スパイスの香り、すべてが複雑に混ざり合って、単体で食べるよりもどれもおいしさが引き立っています。そしてひと口運ぶごとに違う味わいなので、次はどうなるのかという期待とワクワク感が本当に楽しい料理です。
添え付けの豆のお煎餅「パパダン」を崩し入れると、食感が変わり、さらにおいしくなりますよ!日本のお店ではスプーンが一般的ですが、ぜひ手食にも挑戦してみてください。
これも必食、絶品スリランカ料理の数々
カレー以外に、コレは絶対に食べて欲しい!というメニューを教えてください。
ジャナカさん:「カトレット」という魚のコロッケですね。スリランカの家庭料理でも定番です。ちょっとスパイスが効いていておいしいんですよ!日本のコロッケとほとんど同じ作り方で、ジャガイモ・タマネギに鯖やツナなどの魚を入れて、そこにスリランカのスパイスを加えて丸めるだけです。
スリランカ人は、ティータイムのお菓子としても、ごはんのおかずとしても食べていますよ。 まわりはサクサク、中はごろごろ、タマネギと魚の風味がやさしい味わい。そこにスパイスがアクセントになっています。コロッケに魚というのが、日本人の好みに馴染むひと品です。
おうちでも、コロッケのタネに缶詰の魚とスパイスを入れれば、簡単に再現できるそうですよ! ジャナカさん:デザートで食べてもらいたいのが、この「ワタラッパン」。ココナッツミルクとハクルというヤシの蜜(黒蜜のようなもの)で作っている、スリランカ風プリンです。濃厚な甘さで、スリランカでも人気のデザートなんですよ。 濃厚ですがまったくしつこさはなく、黒糖のような奥深い甘さのなかにほんのりスパイスの香りが漂って、食後でもペロっと食べられます。これはクセになってしまいそう……!
「アプサラ」のおいしさの秘密とは?
スリランカ料理は、使うスパイスの調合や、入れるタイミング・量によって料理の味が変わるので、奥深く複雑なるんです。そのため、お店によっても、各家庭によってもまったく違った味わいになるのだそう。写真はモルディブフィッシュという魚を乾燥させたもので、日本でいえば鰹。製法は違いますが、香りも味も鰹節とほぼ同じで、スリランカ料理のダシ要素として欠かせない食材なんです。 「最近はスリランカ料理好きな日本人も増えてますね。ヘルシーだし、鰹節のような日本にちょっと近い食材も使っているし、ただ辛いだけの料理ではないので口に合うのだと思います。さまざまなスパイスを使うので、体にもいいですからね。」とジャナカさん。
本場の味を活かしながら、日本人の口に合うスリランカ料理を提供できるのは、世界中の料理を知り尽くしているジャナカさんだからこそ。これが「アプサラ」の人気の秘訣ではないでしょうか。
今日から実践!おうちカレーをもっとおいしくするコツ
最後に、スリランカカレーを知り尽くしたジャナカさんに、おうちのカレーをおいしくするひと手間を聞いちゃいました!「スリランカのスパイスをちょっと入れてみるといいですよ。オンラインで手軽に買えるので。お肉にそのスパイスを揉みこんでからいつも通りに作って、最後に市販の固形ルーをいれてみてください。いつもより風味が立って、おいしくなっているはずです!」(ジャナカさん) 実はジャナカさん、スパイスを使ったオリジナルのメニューもいろいろと試作しているのだとか。おにぎりにスパイスで炒めた肉を入れたり、しょうゆとショウガにスパイスを加えてマグロを漬けにしてみたり、聞くだけでお腹が鳴るようなアレンジメニューを教えてくれました。
遠いように見えて、実は近い存在のスリランカ料理。一度食べるとクセになる味わいは、人気なのも納得ですね。
初心者の方は、ぜひ「アプサラ」でデビューしてみましょう。そのうち気が付いたら、食卓にバナナリーフを並べているかも……!?取材撮影・執筆:Miyuki Yajima紹介メニュー
・スリランカカレーのバナナリーフ包み 1,600円
・カトレット 400円
・ワタラッパン 600円
※いずれも税込店舗情報
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