十代からデブスパイラルに突入し、結婚、出産を経てもなおデブ道一直線。そんなちぃさんのダイエット実録が、『最強ずぼら女子が成功した唯一のダイエット』。今やインスタフォロワー51万人超(
2020年7月20日時点)で書籍も増刷を続けて6刷りだというちぃさん。ご本人のビフォー&アフター写真を見ると度肝を抜かれます。たった1年でこれほど変わるのか!と、目を見張ること必至。しかも、特別なことはまったくやってないのです。
そもそもちぃさんがダイエットを決意したのは、「突然死の可能性が30%」と医者に諭されたから。太っている→動くのが面倒→生活の乱れ→メンタルの病み等々、すべてが体型のせいとは言いませんが、原因の一端にはなるでしょう。30%の死のリスクを指摘された当初、ちぃさんにはすでに結婚し、幼い子供がふたりいました。
ここで一念発起したのはいいけれど、「あらゆる流行のダイエットはすべて3日坊主ならぬ1~2日坊主、中には0日のモノも多数」という、かなり親近感がわいてしまう結果に終わります。

やがて行きついた方法が「宅トレ」。しかも「理想は高く! 志も高く! でも目標は限りなく低く!」をスローガンに掲げました。
あなどるなかれ、隙間時間
育児や仕事に奔走するちぃさんには、とにかく時間がない。この条件は私達にもあてはまりますよね。日々めまぐるしく過ぎていく時間にどう対処していくか? 隙間時間に「宅トレ」をねじ込んでしまえいいのです。
まず第一歩が「朝トレ」。本書によると、「朝のトレーニングはカロリーの燃焼効率が良いことに加え、その後一日中エネルギー消費が高い状態になる」とのこと。とはいえ、難しく考える必要はナシ。ちぃさんは「ベッド上トレ」や「お天気ニュースを見ながらトレ」等々、工夫を凝らしています。実は私も、「レンチンしている間トレ」や「洗濯機で脱水している間トレ」など、実践しておりました。
私達はどこかで、こんな超短時間に筋トレしてもムダ、って思っていませんか。私もそうでしたが、でも隙間時間に身体を動かすと、意識が変わっていくのですよ。身体を動かすのが癖になり、やがて無意識に身体を使うようになるのです。

ちぃさんの決意ですばらしいと私が感服したのが、現実としっかり向き合った点。「自分が一番目を背けてきた場所」だという背中の写真をご主人に撮影してもらい、インスタにアップ。スタート地点=おデブな現実をさらけ出し、記録を付け始めました。これって、なかなかできないと思いませんか。しかし、恥をさらせば確実に一歩踏み出せるのです。
ダイエットはメンタル10割
ダイエットの成功例を見るたびに、著者だから成功できた、でも私には無理、というネガティブな思いにとらわれませんか。ちぃさんも、散々失敗を繰り返してきたひとり。そんなちぃさんを突き動かしたものは、何だったのでしょうか。
「過去の失敗は何が原因だったのかという自己分析から始めたのがとても大きい。過去のダイエットは、いつだって短期決戦。結果を求めすぎ、頑張りすぎ、焦りすぎて、結果続かない」。これって真理だけど、かなり耳が痛い。でも、やはり現実を直視しないと変われない!

「大事なのは痩せることではなく、太らない生活を、自分のライフスタイルとして確立させること」。筋トレしなきゃ、食事制限しなきゃ、と身構えるのではなく、無理のないように少しずつ身体を整えていき、それをあたりまえにしてしまう。
「心が折れてしまいそうな時は、もしかしたら目標が高すぎるのかも?」と本書。ちぃさんが掲げた目標は「継続することだけ」。ヤル気がない日は30秒のプランクだけでいい、というメンタル重視のやりかたが成功のカギ。そこには、自分を甘やかすのではなく、自分をとことん愛する気持ちが溢れているのです。
筋トレをねじ込む、平日の過ごし方
2017年の元旦から、ちぃさんは筋トレを開始しました。1日目のメニューが、「クランチ20回、スクワット30回、スパイダープランク10回」。他、歩数は9806歩ですが、筋トレに要した時間は1分45秒です。本書には7日間の記録が掲載されていますが、最高時間が3分5秒で、平均して2分前後です。意外に短い、と思ったのは私だけではないですよね。これなら続けられそうじゃないですか。

さらに、「平均的な平日の過ごし方」も掲載。「テレビを見ながらソファで足こぎ&足まわし」や「エレベーターを待っている間にキックバック」等々、出ました「隙間トレ」。1日に4つ組み込んでいます。これに筋トレ1~3分プラスすれば、無理なく身体を変えていけそうですよね。
モチベーションを上げるための工夫
本書は、写真、漫画、文章で構成されています。筋トレから料理まで網羅されているのは、通常のダイエット本と同じ。本書が何よりも大事にしているのが、モチベーションの上げ方や保ち方だと思いました。ちぃさんも、ずっと自分の体が大嫌いで鏡の中の自分も直視しなかった、と言います。そんなちぃさんが定期的に全身を写真に撮って確認し続けるのは、いかに過酷だったか想像できますよね。
しかし、写真を撮って毎週比較し続けることが大きなモチベーションになったそうです。自分を変えたいと思ったら、今できることを無理せずやる。すると体はこたえてくれるのです。
変わるのは明日からではなく、今から。ダイエットだけではなく、人生の大切なことまでおしえてくれる、そんな一冊です。
―小説家・森美樹のブックレビュー―
<文/森美樹>
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森美樹
1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)を上梓。Twitter:@morimikixxx
(エディタ(Editor):dutyadmin)
