【もくじ】

そのオリーブオイル、本物ですか?

この原稿を書くことになったのは、オリーブの国際的機関であるIOC(インターナショナル・オリーブ・カウンシル)の「Believe in Olive Oil」キャンペーンの一環として、トルコにオリーブオイルの取材に招かれたことがきっかけ。

「日本のみなさんにもっとオリーブオイルのことを知ってもらいたい」ということだったのですが、取材を重ねるうちに、日本は本当にオリーブオイルについてはまだまだ知らないことだらけなのだということを実感しました。

本当のオリーブオイルってどんなもの?
オリーブオイル選びのためのテイスティングのコツは?
正しい保管方法は?

オリーブオイルの基礎知識を知って、体にいいおいしいオリーブオイルを選びましょう!

意外に知らない!? オリーブオイルクイズ

以下の質問に、○か×で答えてください。

Q.1オリーブオイルは、オリーブの種から作られている
Q.2ピュアオリーブオイルは、混ぜ物をしていない一番搾りオイルである
Q.3良質なオリーブオイルは緑色をしている
Q.4苦味や辛味のあるものは、品質が悪い
Q.5オリーブオイルの保管は冷蔵庫がよい

いかがですか?
では、答え合わせをしていきましょう。

Q1.オリーブオイルは、オリーブの種から作られている?

答えは ×

オリーブオイルはフレッシュなオリーブの「実」を丸ごとつぶして絞ったもの。

これに対して、菜種油やゴマ油、コーン油などの一般的な植物性油は「種」を絞って作ったものです。

つまりオリーブオイルは「オリーブの実のフレッシュジュース」。だから野菜や果物に含まれているようなポリフェノールなどの栄養素がたくさんつまっているんです。
これが血液さらさら効果や抗酸化、ダイエットなどをはじめとした、さまざまな健康効果をもたらしてくれるのです。

ちなみに日本で一番使われているサラダ油は菜種や大豆、トウモロコシ、ゴマ等、何種類かの原料から“精製”された油。低温でも固まりにくく使い勝手は良い油ですが、トランス脂肪酸が含まれていたり、加熱によって劣化しやすいため、注意してください。

Q2.ピュアオリーブオイルは、混ぜ物をしていない一番搾りオイル?

答えは ×

みなさんは、エキストラオリーブオイルとピュアオリーブオイルの違いを知っていますか?

IOCが定めたオリーブオイルの国際規格をみてみましょう。

◎バージン・オリーブオイル

■オリーブの実を粉砕し、圧搾、濾過、遠心分離などの物理的な方法のみで作ったオイル。いわばオリーブの一番搾り。

成分をチェックする化学検査だけでなく、味や香りを人が判断する官能試験によって、グレードが分かれます。

その中で最上級のものが「エキストラバージン・オリーブオイル」。
次に「バージン・オリーブオイル」「オーディナリーバージン・オリーブオイル」。
そのままでは食用に適さないものを「ランパンテバージン・オリーブオイル」となります。

◎精製オリーブオイル

実の状態が悪かったり、加工に問題があった低品質のオイルや、バージン・オリーブオイルの搾りかすに溶剤を入れて絞った二番絞りは、脱色、脱酸、脱臭などの精製を行って、食用に適するように仕上げます

◎オリーブオイル

■精製オリーブオイルに、バージン・オリーブオイルをブレンドしたオイル

よく目にする「ピュアオリーブオイル」は正式な規格ではありません。日本では精製オリーブオイルに少量のバージン・オリーブオイルを加えたものがピュアオリーブオイルとされているようです。

精製の段階で、オリーブオイルの風味や健康効果のもととなる、ポリフェノールなどの有用成分はかなり減ってしまいます。健康のためにオリーブオイルを選ぶなら、やっぱりエキストラバージン・オリーブオイルがおすすめです。

【コラム】日本のエキストラバージンオリーブオイルは偽物だらけ!?

でも、最近よく聞くのが「日本のエキストラバージン・オリーブオイルは偽物だらけ」という話。それってどういうことなのでしょうか?

オリーブ業界の国際的機関として認められているIOC(インターナショナル・オリーブ・カウンシル)。でも、日本はIOCに加盟していません。

日本で売られているオリーブオイルはJAS規格によって定められています。じゃあ大丈夫と思いたいところですが、これが制定されたのは昭和44年。内容は

・オリーブ油 オリーブ特有の香味を有し、おおむね清澄であること
・精製オリーブ油 おおむね清澄で、香味良好であること

というおおざっぱなもの。いまのようにオリーブオイルが普及していなかったので、必要もなかったのかもしれませんね。

ということで、そもそも日本には“エキストラバージン・オリーブオイルに対する規格がない”んです。

そのため、国際的には認められない低品質のオイルや混ぜ物オイルでも、エキストラバージンオリーブオイルと名乗ってしまうことができるのです!

もちろん、ちゃんと質の高い商品もたくさんありますが、自分の食べているオリーブオイルは大丈夫なのか、だんだん不安になってしまいますね。

ではよりよくオリーブオイルを知るために、クイズを続けましょう。

Q3.良質なオリーブオイルは緑色?

答えは ×

オリーブオイルの品質と色は関係ありません。

この問題、間違えた方も多いのではないでしょうか?
実は私もずっとそう思っていました。

オリーブの実には緑色のもの、紫っぽいもの、黒いものなどがありますが、これは成熟の違いによるもの。

若い実は緑色なので、早摘みのオイルも緑色。成熟するにつれて実は黒くなり、オイルは黄味がかっていきます。
緑のものはフレッシュで、黄色のものはまろやかな味わいのものが多いようです。

購入するときは、できればテイスティングをしたいもの。できない場合でも、開封した時に一度テイスティングをして、品質をチェックしてみるのがおすすめです。

Q4.苦味や辛味のあるものは、品質が悪い?

答えは ×

オリーブオイルの中には、かなりきつい辛味や苦味があるものや、舌や喉にピリピリとした感覚や、イガイガ感を感じるものがあります。

実はこれこそがポリフェノールなどの有効成分が豊富に含まれているサイン。

今回の取材では、オリーブオイル工場やオリーブオイル博物館で、何回もテイスティングをしましたが、びっくりするほど強い刺激があるものもあって、咳き込んだり、喉の痛みに大騒ぎになることも。トルコの方々に「いいオイルにはこの刺激があるものだ」と笑われてしまいました。

日本人はこの刺激が苦手な人も多いようですが、健康効果や美容効果を狙う人にとっては、この辛味や刺激こそが有効成分たっぷりのサイン。料理に使うことで、刺激もマイルドになりますし、独特の風味が美味しい調味料の働きをしてくれます。

洋食はもちろん、冷や奴にかけたり、卵かけご飯にかけたり、お味噌汁にひとさじ入れるだけでも、風味が増してワンランクアップの味に。

ぜひ試してみてくださいね

Q5.オリーブオイルの保管は冷蔵庫がいい?

答えは ×

オリーブオイルは10℃以下になると、白濁したり固まってしまいます。
温めると元に戻りますが、これをくり返すとどんどん劣化してしまうので、保存は冷暗所が基本です。

オリーブオイルは酸化しにくいオイルと言われていますが、開封したら1〜2ヶ月以内に使い切るのが理想です。

なかなか使いきれない人は、なるべく小さなサイズを買うのが基本。いま、手元に開封済みのオイルがある方は、飲み残したワインの保存と同様に、空気抜きをしたり、小瓶に移したりして、できるだけ空気に触れないようにするのも劣化させないコツです。

【Point】知っておきたい! オリーブオイルのテイスティング方法

国際規格のオリーブオイルには、厳しい味覚チェック(官能試験)が行われます。

トルコの農業協同組合連合Tarisで教えてもらった、テイスティングの方法をご紹介します。

【用意するもの】
色付きの器

オリーブオイルの質と品質は関係ありません。
目で見た印象に左右されないように、透明や白の器ではなく色付きの器を用意します。
正式な検査では、専用のグラスを使用します。


①香りをチェックする

器に少量のオリーブオイルを注ぎ、片手でふたをして、もう一方の手で器の底を温めながら1分程度軽く回すと、香りが立って特徴がわかりやすくなります。

良質なものは
フレッシュな草の香り、野菜や果物の香り、スパイスの香りなど、さまざまな香りが豊かに入り交じっています。

質の悪いものは
べたついた香り、かび臭さ、焦げ臭さ、金属臭、機械油っぽい臭いなどの、不快な香りが鼻につきます。


②味をチェックする

スプーン一杯程度のオリーブオイルを口に含み、ズーッと音を立てるようにして空気を吸い込み、舌全体にオイルを回します。ワインのテイスティングと同じ要領です。空気と混ぜると香りがさらに引き立ちます。

油をそのまま味わうというのは、抵抗があるかもしれませんが、質のよいオイルは嫌な油っぽさはありません。パンに付けるより、よりオイルの個性がはっきりわかるので、ぜひ試してみてください。

良いオイルは
苦味、辛味、甘味、渋みなどの味が複雑に組み合わさり、フルーティさが感じられます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

健康と美容のためには、質のいいオリーブオイルを選んで、なるべく早く使いきることが大切です。

先日、実家に帰ったときに、油のチェックをしてみたら、なんと開封したのは半年以上前。案の定劣化していました。

「古くなったオイルは体に毒!すぐに捨てて」と母に言ったところ、「オイルって悪くなるの?」「劣化した油って言われてもよくわからない」という答え。

一度オイルテイスティングをして、よいものと悪いものの違いがわかると、保存状態が悪かったり、古くなって劣化したオイルにも、すぐ気がつくようになります。

みなさんも、オイルテイスティング&オイルチェックをして、体にいい美味しいオイルを使ってくださいね。


取材・撮影/鳴海美紀


取材協力 IOC(インターナショナル・オリーブ・カウンシル)