
たった5席だけ! 至福の景色が待っている隠れた日本料理の名店『壽修』
前編では「刺身」と「造り」の違いについて解説した。それらの違いについて理解したところで、紹介したい隠れ家割烹料理店がある。


そう話す店主・先崎真朗さんのライブが目の前で観られるのは、1日たった5名のみ。華麗な包丁さばきと料理に向き合えるように、店内は天然木の温かい色味に設えられたシンプルな空間が広がる。


「番組の影響からか、当時は西洋料理に憧れていましたね。華やかでかっこいいじゃないですか」。そう話す先崎さんが和食の料理人になると決めたのは、大阪・北新地に店を構える割烹『斗々屋』との出逢いがあったから。初めて感銘を受けた親方の元で、9年ほど研鑽を積み上京。鮨店や日本料理の大型店舗での修業を経て34歳のときに『壽修』を開業した。
独立したら、浪速の割烹スタイルで挑む! と心に決めていたのも、幅広い和のおもてなしを経験してきたからこそ。そんな先崎さんが考える、日本料理の花形“刺身”“造り”とは――。
独自のルールの元で創られる“季節のお造り盛り合わせ”

「しいて言えば、盛り付けや切り身にひと手間加えたり、けんやつまがあしらわれたものを“お造り”。生身を薄く切って並べただけの切り身や、鮮度がいいもの全般のことを“刺身”と呼びます」。
供された皿をよく見ると、「クエ」がほんのり白みがかっている。

先崎さんの細やかな工夫は、造りの脇役「あしらい」にも潜む。
「お口直しに食べる“あしらい”は、季節の旬のものを添えることが多いですね。この皿でいうと、キュウリが“つま”。ネギとレッドキャベツのスプライト、大根おろしを合わせたものとワサビが“薬味”になります。食べ方はお客様の自由ですが、私の中にはルールがあって、“あしらい”だけでもおいしく食べてもらえるように一つひとつに必ず手を加えます。ただポン酢を出すのではなく、ポン酢で味付けした薬味おろしを添えることで、酒の肴にもなるんです」。

「煎り酒です。醤油が生まれる室町中期頃までは、造りは煎り酒で食べられていました。今日は当時のものを少しアレンジして、梅干と昆布を加えて酒を煎り、そこに醤油を少し垂らして冷ましたところにカボスを搾っています。醤油は長崎県産“チョーコー醤油”をベースに、酒とみりん、カツオだしを合わせていますが、実は、季節によって醤油の味を変えているんです。夏はキリッとさせてさっぱりとした後味に、冬はみりんを多めに加えてまろやかに仕上げています」。
先崎さんの造りへのこだわりは、まだまだ終わらない。
シンプルだからこそ差がつく! “造り”の見栄えをきめる道具と器

刃が細く、そぎ切りや細造りに適した「柳刃」は主に関西で使用され、刃先が角ばった「蛸引き」は関東で根付いているが、今では「柳刃」が主流と先崎さんは話す。
「私は“鉄引き”という薄造り用の包丁を使っています。“柳刃”よりも一回り小さく、刃が薄くてしなるんです。これが使いやすくって、どの種類の魚でも“鉄引き”でひいていますね」。

魚の種類も切り身の数も奇数で用意し、奥を高く手前が低くなるように盛り、食べる順番は手前の左側から時計回り。白身魚からはじまり、貝類、赤身などの濃い味付けは最後にいただくのが基本という。


また江戸後期の有田焼や今右衛門の伊万里焼、古伊万里の骨董。これらはほんの一部だが、先崎さんの地元・佐賀県のものを中心に時代を超えて取り揃えられた器たちが、シンプルな“お造り”を豪華に演出する。
“お造り”をつくる上で最も大切なこと
ここまで、切り方や盛り付け方、あしらいや器といった先崎さんのこだわりについて詳しくお伝えしてきたが、最後に、“お造り”をつくる上で大切なことを話してくれた。
本当によい食材を知ることを心がけた結果、身に付いた目利きに培ってきた技術とセンスが加わることで、日本料理の花形“お造りの盛り合わせ”が完成するのである。
もう一つの日本料理の花形「お椀もの」

しっかりと火入れされた甘鯛は、炭の上でたっぷりの脂を蓄えたのだろう。箸を通せば容易にほどける身から、きめ細やかな脂の粒が溢れ出す。すするたびに濃厚に甘く変化していくだしに、焼きナスの苦み、丹波シメジの力強い香りが加わって、口中にうまみの三重奏が響き渡る。
メインの焼き物は2種類からチョイス!

瞬時に決められる回答ではないが、この日は「佐賀牛」の中でもなかなかお目にかかることのできない「伊万里牛」が入荷していると聞き、“肉”を選択。伊万里牛とは、佐賀県の伊万里市で飼育された牛のことである。

地元・佐賀の酒が呑み比べられる圧巻のラインナップ

定番の「鍋島純米吟醸」から季節の限定酒「Nabeshima Moonシリーズ」、ラベルの文字が反転した「隠し酒 裏鍋島」などの希少な銘柄まで、常時10種類前後が揃うのは、都内でもほとんどないという。佐賀の食材と酒がマリアージュする贅沢さたるや!


【メニュー】
コース 15,000円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です。別途サービス料10%
壽修(じゅしゅう)
〒106-0031 東京都港区西麻布2-16-1 斎田ビル1F050-3313-4271
18:00~24:00(L.O.23:00)
日曜・祝日

https://r.gnavi.co.jp/gc28600/
この記事の筆者:植木祐梨子(ライター)
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