
うどん屋らしからぬ造りには秘密が
東急目黒線目黒駅からひとつ先の静かな街、不動前。近隣エリアである中目黒の華やぎや五反田の喧騒はないが、街を象徴する桜並木から脇道に入れば、小体ながら常連客に愛される佳店がぽつり、またぽつり――そんな慎ましくも温かみのある街だ。


そのときふと、鼻腔がだしの香りに溶け込んだ酢の存在をとらえた。実は同店、ここから徒歩5分ほどの『鮨 りんだ』(以下、『りんだ』)の姉妹店として誕生した。うどん以外の一品料理には『りんだ』で仕事が施された種が使われ、板場に立つのも『りんだ』で修業を積んだ若手だという。
「お客さまの前に立ってこそ学べるものがある」弟子たちへの思い
同店が謳う“宇和島うどん”とは、オーナー・河野勇太さん(写真下)の地元、愛媛は宇和島で親しまれるうどんを理想とした、いわば郷愁の味だという。『りんだ』でも宇和島のタコや鯛を使うなど、郷土へ強い思いを持つ河野さんだが、姉妹店に対してはこんな思いもある。
「若い職人は裏方が多く、お客さまの前に立つにはかなりの時間がかかります。独立を目指す子たちにとって、こうしてカウンターに立つ経験はいずれ役に立つはずです」。
自分の下にいる若手を応援したい――。故郷・愛媛への愛情と同じく、弟子たちに向けられる思いも温かい。『らんまる』は、そんな河野さんの思いが帰結した店なのである。
故郷・宇和島の郷土食“じゃこ天”が乗る自慢のうどん



特注のうどんはお隣、香川のそれと比べると細く柔らかく、だしなじみの良さが宇和島流。

うどんの他、鮨やおつまみも味わえるコースもスタート
4月からは、季節のおつまみ5品+うどん+握りからなる「おまかせコース」が登場。たとえば春のある日は、色の取り合わせが美しいこんな一皿が待っている。

「ここでは『りんだ』でできないことをやりたいんです。たとえば夏は細いうどんで“冷やし中華うどん”とか(笑)」と話す河野さんのワクワク感がこちらにも伝わってくる。静かな街、不動前に通いたい店がまた一つ増えてしまった。
【メニュー】
宇和島じゃこ天うどん 900円
薬味ぶっかけ(温玉付き) 1,000円
本日のお刺身 1,800円
すし屋のだし巻き卵 800円
おまかせコース 6,500円
※価格はすべて税別
らんまる
〒153-0064 東京都目黒区下目黒3-16-2 1F03-5734-1461
11:00~13:30、17:30~21:30
火曜、第3月曜

この記事の筆者:井上こん(ライター)
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