
感性が研ぎ澄まされる無彩色の“シェフズキッチン”へようこそ
東京メトロ日比谷線・広尾駅から優雅な広尾散歩通りを進むことおよそ7分。都内屈指のおしゃれ商店街の一角に、フレンチレストラン『ode(オード)』が産声をあげた。


アミューズは世界的に愛されるアニメから飛び出したあの“星球”


カカオバターでコーティングされた球体は、「ジュ・ド・オマール」を作る要領でオマール海老の甲羅の色素と香りをバターにうつし、鮮やかな橙を生む。中にはオマール海老のだしに生クリームを合わせたムースが。古典フレンチの技法で作られた球体は、前店の頃よりユニークに姿を変え、まるでアニメーションの世界から飛び出してきたかのよう。

ペアリングに供されるのは、ブラッドオレンジ味の「コアントロー」(写真上)。口に含むと、柑橘の妖艶な香りに包まれた途端、パキッという微音とともに球体が溶けてオマールのうまみが可憐に舞う。溢れだした濃厚なムースが華やかな柑橘香とマリアージュすると、一瞬にして儚く消える。微かな残香に浸りながら、7つ集まったら何を願おうかと、想像が掻き立てられる。
骨の髄まで余すことなく食される『ode』のシグネチャー


刺激的な食感の奥に忍んでいるのは、2つのうまみ。豚の血と脂、キャラメリゼしたタマネギに、サンマのワタを加えて炒めたブータンノワールのほろ苦いクリームが官能をくすぐり、軽く炙られた尾崎牛のタルタルがフィレにねっとりと絡んで、うまみを深く協調させる。


アマゾンカカオの個性溢れる、究極のデザート

この日のカカオは、酸が特に強いそう。その個性を活かすため、カカオにスモークをかけてみる。燻製香と酸の組み合わせは、唯一無二の深みを生み出す。同じく太田さんからいただいたという、カカオの親戚“マッカンボ”でプラリネのパウダーを作り、苦味と香ばしさを足していく。
ショコラに添えられたバニラアイスは、鼻腔に近づけると甘みの奥からスモーキーな薫香を放つ。訊くと、アイスを作る途中、藁で香り付けされていた。温かいフォンダンショコラと一緒に食べると、初めに藁の薫香を感じて、後半の余韻で酸が現れる。完ぺきな温度差の妙によって、不思議と素材すべての香りがたつ。
卓上のブルースは、一期一会の心地よいセッション

「気の合う仲間が集まって奏でる気軽さや、その臨場感が好き」。そう話す生井シェフのブルース愛は、お皿の上からも感じられる。咀嚼のたびに変わるリズムや、相性のよい食材が集まって奏でるうまみ。卓上のセッションも一期一会なのだろう。そこにある緻密な計算を意識させないナチュラルな味わいだから、なんだかホッとさせられる。そのワケは、グレーがもたらす鎮静効果と、心地よく体幹を流れゆく“食感のハーモニー”にあるのかもしれない。
(撮影/佐々木雅久)
【メニュー】
ランチ 6,000円
ディナー 13,000円
※価格は税込み
※サービス料10%別
※ランチ時にディナーメニューを予約することも可能
Ode(オード)
〒150-0012 東京都渋谷区広尾5-1-32 ST広尾2階03-6447-7480
12:00~13:00、18:00~21:00
日曜

この記事の筆者:植木祐梨子(ライター)
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