
修業先は『東京吉兆』『松下』『青草窠』『喜作』『太月』
この6月に自身の店『御料理 辻』をオープンした辻佳明さん。場所は東麻布。最近、食通たちが足を運ぶ店が増えてきたエリアだ。

辻さんは11年もの間、『東京吉兆』をはじめいくつかの日本料理の名店で修業し、料理人としての技術や心得はもちろんのこと、器、設えに至るまでを学んできた。そして今回、表参道『太月』で同じ料理人であった妻とともに、満を持しての独立である。
目で味わう凛とした美しさ
12品からなるおまかせのコース料理はどれも“和の心”を感じさせる。派手な演出はないが、ひとくちごとにじんわりとおいしさが沁み込んでくるのだ。


器は修業時代からコツコツ買いためていったもの。古いものが持つ伝統や長い間大切に受け継がれてきたものが好きで、ほとんどが骨董品なのだそう。「まずは見ておいしいと思ってもらえたら」と辻さん。良い器があってこそ料理も映えるのである。
だしを極め続け最高のお椀に!
店の味を決めるのは、だしといっても過言ではないだろう。辻さんの引くだしは前職の『太月』でも定評があった。使っているのは昆布と鰹節。いたって普通である。しかし昆布と鰹節の産地や熟成期間でそもそも違うし、たとえ同じ昆布と鰹を使っても、だしの取り方によって味はまったく異なるのである。辻さんはだしを取るたび、化学の実験のように試行錯誤を繰り返し自分の味を創りだしていく。水出しするのか、お湯から入れるのか。お湯なら何度で何時間おくのか。鰹節は削りたてにするのか、削り方はどうするのか。1~2分長くおいただけでも臭みが出てしまうほど、扱いは繊細だ。昆布にも鰹節にも個体差があるし、気温や湿度によっても変わる。毎日同じようにだしを引くことがどれだけ難しいことか、極めれば極めるほど奥深さを知るのである。


正統派の日本料理、それでいて肩肘張らずにいただけるのがこの店の魅力である。やさしく滋味深い日本料理の良さをしみじみ感じてもらえるだろう。
(撮影/八木竜馬)
【メニュー】
ランチコース(8品)/8,000円
ディナーコース(12品)/15,000円
※価格は税別
※食材により価格が変わることがあります
御料理 辻
〒106-0044 東京都港区東麻布3-3-9 アネックス麻布十番 B1F03-6459-1550
11:30〜14:00(L.O13:00) 18:00〜23:00(L.O.21:00)
日曜・祝日

この記事の筆者:高橋綾子(フードパブリシスト)
【Not Sponsored 記事】